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  • 「どんなときでも」事業に貢献するコーポレート部門をつくる ──プロセスのアウトソースによって…

    クックパッド株式会社

    業種
    メディア・サイト運営
    従業員数
    498名(連結)2020年3月31日時点

    導入について

    「どんなときでも」事業に貢献するコーポレート部門をつくる
    ──プロセスのアウトソースによってつくり上げた、クックパッドのルーチンワークなき経理組織

    74カ国/地域・32言語(2020年3月31日時点)で展開する料理レシピ投稿・検索サービス『クックパッド』や買い物をもっと自由にする生鮮食品EC『クックパッドマート』など“毎日の料理を楽しみにする”というミッションのもと事業を展開するクックパッド株式会社。同社の財務経理部門は、いかにしてその事業基盤を支えているのだろうか。

    今回お話を伺ったのは、同社執行役・CFOの犬飼茂利男氏と、財務部の草埜理恵氏だ。コーポレート部門の理想形を「ルーチンワークを持たず、ひとり一人が自走する組織」と語る犬飼氏。理想を実現するためのひとつの手段として導入したのが、メリービズのバーチャル経理アシスタントだった。

    経理業務のプロセス改善を担う草埜氏は、バーチャル経理アシスタント導入によって「経理組織のメンバーだけでなく、事業側のメンバーの作業負荷も大きく軽減することができた」と振り返る。また、COVID-19の影響によるリモートワーク体制下でも、平時と変わらない質と量の業務が行えている理由のひとつとして、メリービズと取り組んできた「作業のオンライン化」を挙げた。その取り組みは、経理アウトソーシングがBCP(事業継続計画)の一部を担えることを示唆している。

    理想の組織をつくり上げる手段としてメリービズのバーチャル経理アシスタントを選択した理由、そして「事業を共に創り出す」コーポレート部門のあり方を伺った。

    コーポレート部門の最低限の役割は、事業現場が「事業にだけ」集中できる状態をつくること

    ──まず、御社の経理組織の理想像を教えてください。どのような組織を目指して来たのでしょうか。

    犬飼氏:ルーチンワークを持たず、メンバー全員が自立して業務を遂行する組織です。IT業界はとても変化の早い業界。外的な環境の変化に合わせて事業を展開しなければなりませんし、さらに自らが変化の起点とならずして、業界をリードする存在にはなれません。

    事業面の変化に即座に対応するため、コーポレート部門も柔軟でスピーディーな対応が可能な組織でなくてはなりません。そのために、メンバーが立て替えた経費の精算業務や売上の計上手続き、あるいは請求書の支払処理など固定化されたルーチンワークは極力行わず、個人がプロアクティブに動ける組織をつくろうと考えてきました。

    ──そのような組織を実現するために、これまでどんな施策を講じて来られましたか?

    犬飼氏:私がクックパッドに入社して最初に行ったのは、基幹システムの刷新です。それまで使っていたシステムからWorkdayに変更したのですが、この時点ではシステムを入れ替えただけで、経費精算などの業務プロセスの見直しはできていませんでした。

    新システムの導入によって、データの一元化と可視化はできたのですが、導入当初は現場から「どのように使えばいいのかわからない」といった問い合わせが激増し、経理部はパンク状態になりました。経費精算の処理というルーチンワークでリソースが圧迫されてしまう、理想とはかけ離れた状態でしたね。

    ──システムを変えただけでは、ルーチンワークを無くすことはおろか、効率化することもできなかったのですね。それからはどのような打ち手を講じられたのでしょうか?

    犬飼氏:次に着手したのは、業務そのものを無くすための取り組みです。ルーチンワークそのものを無くしてしまえば、効率化を考えるまでもなく、事業現場への負担も軽減できる。コーポレート部門として大切なのは、事業メンバーにかかる負担を減らすことだと考えています。

    営業や開発、マーケティングなど事業の推進を担うメンバーが、それぞれの業務にリソースを100%割ける状態をつくることが、私たちコーポレート部門で非常に重要なこと。もし、事業メンバーが1ヶ月につき30分経費精算のことを考えているとすれば、クックパッドの社員は現在約500名なので、会社全体としては月間250時間を経費精算に費やしていることになります。この時間は、事業成長のための思考や行動に充てられるべき時間なんです。

    ──ルーチンワークをなくし、現場が事業に集中できる環境を整えるために、どのような手段を検討されましたか?

    犬飼氏:業務プロセス全体の見直しをした上でのアウトソースです。アウトソース先として会計事務所がまず思い浮かび、相談してみたのですが、「事業現場の負担を減らす」といったことに関して彼らは知見を持っておらず、私たちのニーズに合致しないように感じました。

    そこで、旧知の仲だったメリービズの代表取締役である工藤さんに相談してみたんです。

    経理組織のメンバーは半分に。でも、残業時間は以前の半分以下

    ──そこからアウトソース先としてメリービスを検討し始めたんですね。メリービズの担当者とのやり取りは草埜様が担当されていたと伺っておりますが、当初はどのようなことを話し合われていたのでしょうか?

    草埜氏:私たちが実現したい状態をお伝えし、ルーチンワークをなくす方法を一緒に考えました。ホワイトボードに私たちが行っている業務を書き出し「ここはメリービズが巻き取れる」「ここはクックパッドがやる」と整理していきました。

    ──導入の決め手になったのはどのような点ですか?

    草埜氏:担当者の経理業務への知見の深さですね。事業会社で経理を経験したことのある方が担当してくださるので、業務内容への理解もあり、コミュニケーションの中で余計なストレスを感じることはありませんでした。

    また、他社も担当されている中で得た業務改善に関する知見も豊富で、私たちが抱える課題に対して適切な解決策を提示していただきました。メリービズとなら、私たちが目指す理想の状態をつくれるのではないかと感じ、まずは現場に大きな負担がかかっていた立替経費の精算業務をアウトソースすることに決めました。

    ──導入が決まってからは、どのようなスケジュールで業務改善を進めていったのでしょうか。

    草埜氏:2018年の4月に初めて打ち合わせをさせていただいてから、2ヶ月で運用方法を決定し、6月には部署を限定したトライアルを実行しました。トライアルの結果、現場からも良好な反応が得られたので、7月からは全社での運用を開始したんです。想像以上のスピードで全社へ展開できたので、とても助かりましたね。

    ──3ヶ月間で全社の経費精算業務を刷新できたのは、どのような要因があると感じていますか?

    草埜氏:コミュニケーション手段を弊社に合わせていただけたことが大きかったと思います。弊社は社内コミュニケーションにSlackを用いているのですが、メリービズの担当者ともSlack上でコミュニケーションできたことは、とてもありがたかったですね。また、急な依頼にも柔軟に対応していただける点も、業務を進める上でとても助かりました。

    ──メリービズ導入前の経費精算はどのようなフローで行われていたのでしょうか。

    草埜氏:メリービズ導入前、事業メンバーの作業は、まずWorkday上で経費レポートを作成し、登録。該当の領収書を紙に貼って、上長に提出。上長は内容を確認の上、経理に提出といった流れでした。「とにかく領収書を紙に貼る作業が面倒くさい」「レポートを作成する際、経費項目がわからない」といった声が多かったです。

    一方、経理側は、事業側が作成したレポートに不備がないか確認し、紙で提出される領収書とレポート内容を突き合わせるといった作業をしていました。すべて目で確認しなければならなかったので、処理作業に平均7営業日はかかっていましたね。

    犬飼氏:この頃は、財務部は15人ほどいたのですが、全員が毎月労基署に届け出た労働時間の上限ぎりぎりまで働くことが常態化してしまっており、組織としても疲弊していましたね。

    ──事業メンバー、経理メンバー双方に大きな負担がかかっている状態だったのですね……。導入後はどのように変化したのですか?

    草埜氏:Workdayへの入力作業はメリービズに代行してもらっているので、事業メンバーの作業は、経費の用途を領収書に書いてメリービズに提出するだけで完了です。現場からも「経費精算がとても楽になった」といった声が聞かれ、効果を実感しましたね。


    クックパッド財務部が実施した、新しい経費精算フローに関する従業員へのアンケート結果

    また、領収書とシステムを突き合わせ、不備があれば申請者にその旨を連絡、再提出の依頼までメリービズが行っています。そのため、経理チームはメリービズのサポートと最終確認、振込データの作成のみ担当しており、導入前は7営業日かかっていた業務が、2営業日で完結するようになりました。

    犬飼氏:現在、財務部には8名のメンバーが在籍しています。メリービズ導入前の約半数のメンバー数ですが、チーム全体の残業時間は劇的に減少しましたよ。期末の決算時期は多少の残業が発生してしまいますが、その時期以外では残業をするメンバーがほとんどいなかったほどです。

    経理業務のオンライン化がもたらす「国境を越えた協働」の可能性

    ──事業現場、経理共に大きく負担が軽減されたのですね。導入によるメリットは業務負担の軽減以外に何かありましたか?

    草埜氏:経理業務のオンライン化が進みました。現在、社会がこういった状況ですので、私たちも遠隔での作業を基本としていますが、全く問題なく業務ができているのは、メリービズと共に作業をオンライン化してきた成果だと思っていますね。

    現在は、経費精算業務だけではなく、請求書の処理業務もメリービズと連携しています。2019年の夏ごろからデータで送られてくる請求書の処理は、Googleフォームを活用してメンバーに申請してもらうフローに変更していたので、リモートへの対応は比較的スムーズに進んだと思いますね。今後は経理業務のさらなるペーパーレス化にチャレンジしていきたいです。

    ──その他に、組織としてチャレンジしていきたいことはありますか?

    犬飼氏:グループ全体でワークフローを統一し、世界中の拠点との協働を進めていきたいですね。クックパッドは2014年から本格的に海外進出を進め、現在は世界各国に14社子会社を構えています。コーポレート機能を持っているのは日本の本社と、イギリスのグローバル本社なのですが、コーポレート部門業務のワークフローは統一されておらず、現地で判断して業務を進めてもらっています。

    これからは国を超えてコーポレート部門業務を型化して、世界中のクックパッド社員がどこでも働ける環境をつくっていきたいですね。COVID-19によって、工夫次第で私たちの仕事は場所の制約から解放されるのだと多くの人が理解したと思います。ですが、たとえばイギリスのコーポレート部門の社員が、日本の仕事をするのは、今はまだ難しい。

    言語の壁や、時差の問題もありますが、私はワークフローが異なる点も影響していると思っているんです。業務が型化されていれば、イギリスの経理担当者と日本の経理担当者が同じ仕事に取り組むことは十分可能だと思っています。

    ──世界中のリソースを有効活用するためにも、業務フローを統一化したいと考えておられるのですね。その他にコーポレート部門として成し遂げたいことなどがあれば教えてください。

    犬飼氏:プロダクトへのさらなる貢献ですね。コーポレート部門は、直接的にはプロダクトに関与しないように思われがちです。プロダクトを磨き込んでいるメンバーたちが彼らの仕事に100%集中するための仕組み作りを進めるだけではなく、コーポレート部門が自ら発信をし、そのプロダクトに直接貢献していくことは可能だと思っています。事業側の仕組みも提案し、変えていくことによって、会社の成長に貢献していきます。

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