経理の引き継ぎに必要な期間と進め方とは?一人経理の退職時に注意するポイントも解説

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経理の仕事には日次業務のほかに、月次業務や年次業務もあります。経理の担当者が変わる際には、前任者がいなくなっても後任者が月次業務や年次業務をスムーズに行えるよう適切に引き継ぎを行う必要があります。また、可能であれば月次業務を何度か前任者と一緒に行えるよう、早めに引き継ぎに入るとよいでしょう。
経理業務の引き継ぎでやるべきことや、マニュアルの作成方法などについて詳しく解説します。また、一人経理が引き継ぎする際の注意点についてもお伝えします。

1.経理が突然退職!まずするべきことや引き継ぐべき業務内容とは

社員の退職は突然起きることが多いです。理由は転職や家庭の事情などさまざまですが、社員から退職を申し出られた場合、企業活動が滞らないようすぐ引き継ぎについて検討する必要があります。
経理担当者が退職する際にまず何をやるべきか、引き継いでおきたい業務内容なども詳しく見ていきましょう。

1-1.関係者間での迅速な引き継ぎ会議の実施

まず、経理担当者が退職することが決まったら、後任者を決めます。後任者は上司が選任する場合もありますし、前任者と相談のうえ決めていくこともあるでしょう。後任者が決まったら、上司・前任者・後任者の3者で引き継ぎのためのキックオフミーティングを設定するのがおすすめです。

前任者は、ミーティングの前に、自分が行っていた業務を、日次・月次・年次ごとにもう一度洗い出しておきましょう。ミーティングでは、前任者から後任者へ業務の範囲や手順について伝えてください。
ただし、担当者が変わることで今までとは業務範囲が変わる場合もありますので、あくまでも今まで自分が担当していた業務という前提で、後任者に話しましょう。一人経理で担当する業務を伝えつつ、上司とも相談しながら後任者にどこまで対応してもらうかを決めます。

経理業務は多岐に渡るため、日次業務・月次業務・年次業務ごとに業務を洗い出してマニュアルを作成しておきましょう。

1-1.業務引き継ぎ【日次業務】

経理業務の中の日次業務には次のようなものがあります。

・伝票の起票・整理
・現金の出納管理
・売掛金・買掛金の入力
・領収書の入力・整理
・立替経費の精算
・仮払金の管理

日次業務は毎日の業務であり、比較的引き継ぎやすいことが特徴です。何度か前任者と一緒に業務を行ってから後任者だけで業務に取り掛かることになるので、前任者が退職した後でも問題なく業務を行えるでしょう。

1-2.業務引き継ぎ【月次業務】

月次業務には次のようなものがあります。

・支払業務
・請求業務
・給与計算
・帳簿の管理
・月次決算
・試算表の作成

月次業務は企業や取引先によって行うタイミングが異なります。どのタイミングでどの業務を行うべきか、マニュアルに明記しておくと分かりやすいでしょう。各業務の期限や納期も記載しておいてください。
月次業務には給与計算や帳簿の管理、月次決算など経営指標に関わる重要な業務も多いため、前任者が何度かフォローしながら引き継ぎするのが理想です。

1-3.業務引き継ぎ【年次業務】

経理の年次業務には次のようなものがあります。

・決算作業
・各保険料の納付
・各税金の申告・納付
・賞与の計算・支払
・年末調整
・半期事業計画などの集計
・各保険料率の改定
・予算の立案
・棚卸し

年次業務も月次業務と同様に重要な業務が多くあります。特に、法人税・固定資産税・源泉所得税などの税金の納付や保険料の納付には期限があるため、マニュアルにしっかり記載しておきましょう。年次業務はスケジュール管理が重要です。
また、前任者の退職時期によっては、後任者と前任者が一緒に業務を行うことができないことも少なくありません。後任者が抜け漏れなく業務を遂行できるよう、マニュアルだけでなくチェックリストを作成しておくとよいでしょう。

2.一人経理が退職する際の引き継ぎで注意しておくポイント

一人経理の業務を引き継ぎする場合に押さえておきたいポイントを見ていきましょう。

一人経理は一人の担当者が経理業務すべてをこなしているため、退職する際には詳細なマニュアルを作成することが理想です。引き継ぎがしっかりできていないと、企業全体の経理業務が滞ってしまう可能性もあります。特に年次業務を直接引き継げない場合は、年次業務の進め方や納期などのスケジュールも含めてマニュアルに明記しておきましょう。

2-1.引き継ぐ前に経理担当者の業務負担度を把握しておく

一人経理の場合、業務負担が集中している可能性が高いです。
引き継ぐ前に今の経理担当者の業務状況を把握することで、後任者に大きな負担がかからない環境を考えることも引き継ぎには重要です。

「業務負担度診断」で一人経理の状態を把握してみましょう。全10問ありますので、あなたの主観でかまいません、いくつ当てはまるかチェックしてみてください。

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2-2.属人化されている業務を漏れなく引き継ぐ

一人経理の場合は業務が属人化していることが多く、十分な引き継ぎを受けないと後任者が対応できないケースがあります。引き継ぎをする場合は、前任者だけが知っていることはないか、担当していた業務内容を漏れなく洗い出しましょう。マニュアル化されていなかったりメモに残していなかったりすることがないかを確認します。

もし自分だけがやり方を知っている業務があれば、必ずマニュアル化・引き継ぎをしてください。特に記帳で使っている勘定科目は、担当者が変わったからと言って違う科目で記帳すると、年度の途中から科目が変わって整合性が取れない等の問題が発生します。例えば、営業担当者が使用した車のガソリン代を今まで「交通費」として記帳していたのに、担当者が変わって「車両費」として処理していたといったことがないよう、細かい部分までしっかり引き継ぐことが大切です。

2-3.後任者が決まっていない場合はどうする?

前任者が退職するまでに後任者が決まらなかった場合も、引き継ぎのためにマニュアルを作っておきましょう。業務を一緒に行ったり、直接教えることができないので、マニュアルは必須です。

担当業務をリストアップし、それぞれの期日やスケジュール、各業務でやり取りを行う担当者、業務を行う際の注意点などを詳しく書いた、精度の高いマニュアルを用意しましょう。特に直接引き継ぎができない場合は、マニュアルに最新の情報が書かれているかを見直し、必要に応じて加筆や修正をおこなってください。どうしても一人経理が退任した後の担当が決まらない場合は、経理アウトソーシングサービスの利用を検討することもおすすめです。

経理のアウトソーシングサービスについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

また、メリービズが提供する経理のアウトソーシングサービス「バーチャル経理アシスタント」で解決できることや、依頼できる業務内容などが気になる方はぜひ以下の資料をご覧ください。

3.経理業務を引き継ぐマニュアル作成のポイント

経理業務を引き継ぐためのマニュアルを作成するときのポイントをお伝えします。

マニュアルは前任者が退職した後、後任者が一人で業務を行うようになったときにも参照するものです。誰が見ても分かりやすく的確な内容にする必要があります。業務ごとに仕分けしたり、納期や関係者を明記したり、必要な情報を漏れなく記載するようにしましょう。

3-1.日次・月次・年次ごとに業務をまとめる

まず、日次業務・月次業務・年次業務ごとに自分が担当している業務を書き出しましょう。一人経理の場合は、経理業務以外にも人事や労務の業務をおこなっている場合があります。それらも含めて洗い出してまとめてください。

洗い出しが終わったら各業務ごとに細かいルールやノウハウについて書いていきます。ただし、文章で詳しく説明しようとすると見づらくなることもあるので、箇条書きや表などを用いて要点を分かりやすく書き加えましょう。

3-2.期日や入力・出力情報を明確に整理する

日次・月次・年次業務の洗い出しが終わったら、それぞれの業務の全体像が把握できるよう、5W1Hを明確に記載していきます。

・When(いつ)
・Where(どこで)
・Who(だれが)
・What(なにを)
・Why(なぜ)
・How(どのように)

業務の全体を理解できると、その業務に関する重要な部分や業務の必要性などを理解しやすくなります。重要な部分は太字やハイライトなどを入れるとよいでしょう。

経理業務は期日や納期が明確に決まっている業務も多いので、それぞれの業務ごとに期日を記しておきます。もし判断に迷うような事態の発生が想定できる場合は、予め判断軸を明確にしておきましょう。また、業務チェックリストなどを作成しておくと、マニュアルを見ながら業務を進めやすくなります。

3-3.業務ごとに対応する関係者をまとめる

業務ごとの関係者について記載しましょう。

経理業務は、社内だけではなく社外の関係者と連携しながら進める仕事もたくさんあります。各業務に対応している関係者の名前・所属先・役職・連絡先を明記しましょう。関係者にはあらかじめ、担当者変更の挨拶をしておいてください。

4.経理の引き継ぎに必要な期間は3ヶ月程度

経理業務の引き継ぎ期間は約3ヶ月を目安にしましょう。

直接引き継ぎができる期間が長いほど、後任者が高い精度で業務を行える可能性が高まります。また前任の担当者と一緒に業務をこなすことで、業務のルールや作業のタイミングなどを実感してもらいやすくなり、マニュアルに未記載の暗黙のルールに気づけることもあるでしょう。当然、気になる点はその場で質問することもできます。

月次業務もある程度理解してもらいたいのであれば、最低でも3ヶ月の引き継ぎ期間があるとよいでしょう。しかし実際には経理業務の引き継ぎに3ヶ月を費やせるケースはそれほど多くはなく、引き継ぎ期間が1ヶ月もない場合も珍しくありません。引き継ぎの期間が十分に取れない場合は、少なくとも精度の高いマニュアルは準備しておきたいところです。

5.急な経理の引き継ぎの悩みは、バーチャル経理アシスタントにご相談ください

急に経理業務の引き継ぎを行わなければいけなくなり、後任者選びに悩む場合は経理のアウトソーシングサービスである『メリービズ バーチャル経理アシスタント』にご相談ください。

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経理の引き継ぎについてまとめ

経理業務の引き継ぎをする場合は、日次・月次・年次の業務ごとに作業を洗い出し、属人化されている業務も漏れなく記載しましょう。引き継ぎ期間が短くても精度の高いマニュアルがあれば、スムーズに業務を引き継げます。

またマニュアル作成の際は、業務の納期や期日、関係者の情報も忘れずに記してください。引き継ぎ期間は3ヶ月が目安ですが、短い期間でもマニュアルが十分であれば引継ぎやすいです。前任者の退職までに後任者が決まらない場合は、経理のアウトソーシングを利用するのもおすすめです。

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