目指すはアジア全体の標準化。外資系企業の一大DXプロジェクトをバーチャル経理アシスタントが推進
グラフィック・パッケージング・インターナショナル株式会社
- 業種
-
飲料包装の原紙や食料品の包装材の輸入・販売など
消費者向けパッケージングに関するソリューション提供
- 従業員数
- 17人
導入について
世界最大級の消費者向けパッケージングプロバイダー、グラフィック・パッケージング・インターナショナル。全世界に24,000名超の従業員と130の拠点を持つこの巨大企業の日本法人は、わずか17名の小規模組織でありながら、飲料向け6缶パック原紙市場で国内シェア約7割を占め、アジア地域全体の統括機能も担う。
2023年7月、同社は基幹システムを刷新。業務のさらなる標準化と効率化を目指し、DXプロジェクトの最後のピースとして、メリービズの「バーチャル経理アシスタント」を導入した。
この導入の背景にあった外資系企業ならではの課題とは。そして、円滑な導入を可能にした要因とは。
グラフィック・パッケージング・インターナショナル株式会社のシニアマネージャー、大島祥生氏に、「バーチャル経理アシスタント」導入の経緯と今後の展望について話を聞いた。
ビールの6缶パックでおなじみ、世界最大級の消費者向けパッケージメーカー
──まずは、貴社の事業内容について教えていただけますか。
大島:弊社は、米国グラフィック・パッケージング・インターナショナルの日本法人として1991年に設立された会社です。飲料包装の原紙や食料品の包装材など、原紙の輸入・販売と、包装用機械の販売など、消費者向けパッケージングに関するさまざまなソリューションを提供しています。
国内では、飲料向けのパッケージに強みがあり、ビールの6缶パックに使われる原紙では、国内シェアの約7割を占めています。
──大島さまのお役割についても、お聞かせください。
大島:本業は予算管理や経理含むファイナンス業務全般です。2020年に弊社に入社してからは、基幹システム導入などのIT関連プロジェクトや、総務などバックオフィス全般に関わる業務を担当することもありますね。
全従業員数が17名、バックオフィス系の社員が私を含めて2名と人数が限られているので、ITの専任担当者を置くのも難しく、マルチタスクでいろいろやらなければならない状況です。
──「外資系」というと、一般的な日本企業とは組織の体制やカルチャーが異なる部分もあるように思うのですが、会社の雰囲気はどのような感じなんでしょうか?
大島:一言に「外資系」と言っても、業種や会社によって全然違います。もしかしたら、外資系企業に「給料は高いけれど、ハードワークで超実力主義」みたいなイメージを持たれている方もいらっしゃるかもしれませんが、それは同じ外資系でも特定の企業や業種のみに見られる傾向で、実態としては会社のカルチャーによりけりです。弊社は外資系特有のカルチャーを持ちつつも、穏やかで協力して仕事を進めていくタイプの人が多いです。
また、米国企業の子会社の場合、システムや仕組みがすべて親会社のトップダウンで決められ、そのまま降りてくるという会社も多いんです。しかし、弊社では比較的多くの部分を現地に任せてもらっています。自分たちでビジネス上の判断する場面が多く、それはプレッシャーでもあり、面白いところでもありますね。
基幹システムの総入れ替え、一大プロジェクト成功の要因とは
──2023年7月に基幹システムを入れ替えられたとのことですが、こちらも日本法人の判断だったのですか。
大島:はい。オラクル社のNetSuiteというERPを導入したのですが、親会社では別の基幹システムを使っており、私たちが主導して選定を行いました。
以前は、各部門ごとにバラバラのシステムを使っていたのですが、複数のシステムやベンダーを管理しなければならない、データの連携ができないといった弊害がありまして。「いよいよこのままでは立ち行かない」という状況になり、既存のシステムをすべて見直して、新しいシステムに一新したという次第です。
──既存システムを総入れ替え!相当大変なプロジェクトだったんじゃないですか?
大島:たしかに、長年使ってきたシステムを入れ替えることに関して、社内で抵抗感が全くないという状況でもなかったです。でも、大変だった点はそのぐらいです。というのも、以前在籍していた会社において非常にタイトなスケジュール感でSAP導入をリードした経験があったので、そのときの大変さに比べれば比較的スムーズでした。
──さまざまな意見や反発もあった中で、どのようにしてプロジェクトを推進していかれたのでしょうか?
大島:これだけは、と決めていたことがあります。プロジェクトをリードする上で、「例外は認めない」という強い決意を持って臨んだことです。現場からは「これをやりたい」「ここは変えてほしくない」とさまざまな要望が上がってきました。しかし、それらすべてに対応しようとすると、プロジェクトは前に進まず、個別最適化が進み、結果的に効率性を担保できなくなってしまいます。そのため、「基本方針として標準化する」という主張はぶらさず、例外は認めずに進めていきました。
周囲の人からしてみると、強引に感じられていたかもしれません。実際、反発もありました。しかし、そこで重要になってくるのが、社長のリーダーシップです。たとえ現場からの反発があったとしても、リーダーが「システム入れ替えを絶対にやり遂げる」という強い意志を示せば、自然と前に進むものです。今回のプロジェクトも、「リーダーの意思」という強力なバックアップがあったからこそ、成功したのだと思います。
導入の決め手は柔軟な対応力
──「バーチャル経理アシスタント」導入のきっかけを教えていただけますか。
大島:以前、経理業務は会計事務所に委託していたのですが、来ていただく方のスキルに左右されることが多く、正直あまりうまくいっていませんでした。
そんな状況の中でNetSuiteを導入することになったのですが、担当の方が新規導入した基幹システムに対応出来ていませんでした。せっかくシステムを入れ替えて業務を標準化しても、活用できなければ意味がありません。来ていただく方の個人のスキルに依存しないような体制をつくりたいと思い、アウトソーシングサービスの利用を検討し始めました。
──どのような判断基準のもと、アウトソーシング先を検討していかれたのでしょうか。
大島:会計事務所とアウトソーシングサービス専門の会社という2つの切り口で探していましたね。ただ、会計事務所は少しでも英語での業務対応があると料金が跳ね上がってしまうところが多く、コスト面がネックに感じました。
また、会計事務所は専門性を売りにしているところが多いと思うのですが、私たちが求めていた専門性とはアンマッチでした。どちらかというと、現場の経理実務に詳しく、日々の業務を正確かつ効率良く進められる専門性を期待して探していたので、ニーズの面で「合わない」と感じました。
アウトソーシング系の企業もいくつか検討していたのですが、たいていがアウトソース先のシステム環境を使うことを条件としており、こちらに合わせて対応していただけるような会社はほとんどありませんでした。
あとは、処理件数ですね。弊社の場合、売上規模はそれなりにありつつも、会社組織としては小規模だったので、依頼先からするとボリュームが少なくお断りされることもあったんです。そのあたりの条件が合致する会社がなかなかありませんでした。
──御社の状況に合わせて柔軟に対応できる会社が、そもそもあまりなかったんですね。
大島:そうですね。やはりシステムの問題が最も大きく、条件に合致する会社はほぼなかったと思います。メリービズについては、LUSHさんの導入事例記事を拝見したことが大きかった。既に外資系企業の導入実績があるのであれば弊社の状況にも対応いただけるかもしれないと、お問い合わせをさせていただきました。
お話を伺ってみると、私たちの環境に合わせて柔軟に対応いただけるとのことで安心しました。そして何より、単なる業務効率化だけでなく、「コア業務への集中」という私たちの課題にフォーカスして対応いただける点が非常に魅力的に映り、導入を決めさせていただきました。
スムーズな導入のカギは、スタッフの対応力と当事者意識
──オンボーディングのプロセスはいかがでしたか?貴社業務の安定化までは大変スピーディでしたが、実際のところはどうだったのでしょう。
大島:非常にスムーズでした。基幹システムや他のシステム導入の際に共通して、ベンダーさんに何度か同じ説明をした記憶があり、意図を汲み取っていただくのは大変だな、と思っていました。ですが、今回はそういったストレスは一切なく。一回説明しただけで、こちらの意図や要望をきちんと汲み取ってくださり、それらが綺麗にプロセスに反映されていたので、見事でしたね。
──私たちとしても、「外部委託だから」と丸投げするのではなく、最初から最後までオーナーシップを持って進めてくださったからこそ、うまくいったのだと感じています。
大島:そうですね。数字の説明責任は、あくまで私たち自身にありますので。業務を外部に切り出すというよりは、「私たち主体の業務の一部を、メリービズさんが担当している」というような意識で導入を進めていました。どうすれば全体が上手く回るのか、ということを考えつつですね。アウトソースによくありがちな「丸投げ」をしてしまうと、きっと上手く行かないと思います。
──「バーチャル経理アシスタント」の導入前と導入後で、どのような変化がありましたか。
大島:一番大きな変化は、管理会計の業務やITプロジェクトに、十分な時間を割けるようになったことですね。これまでほとんどリソースを割くことができていなかったんです。加えて、私の残業時間も数十時間は減りました。最近は、「あれ?今月こんなに早く終わったの!?」といった会話も出てきており、大きな変化が起きていると感じます。
──スタッフの対応に関しては、どのようなご感想をお持ちですか。
大島:当初はもう少したくさん質問が来るのかなと思っていたのですが、ほとんど質問がなくスムーズに進められた点は、いい意味で驚きでした。なおかつ「次回からはこうしてください」と言った内容に関しては、確実に反映してもらえるので、大変助かっています。勘定科目や請求書の英語対応に関しても、現在のところまったく問題がなく、大変満足しています。
アジア地域全体の標準化に向けて、業務効率化をさらに進めていく
──会社として、あるいは個人として、今後はどのようなことに注力されていきたいですか?
大島:個人的にやりたいと思っていることが2つあります。ひとつは、今使っている基幹システムの中国法人への導入です。現状、日本法人がアジア地域全体の統括機能を持っているのですが、中国は別のシステムを使っているため、状況が見えづらく。旧態依然としたシステムを使っていることで、さまざまな問題も生じているようですので、日本法人と同じシステムを導入することで、アジア地域全体の標準化を図りたいと考えています。
もう1つは、予算管理をシステム内でもっと上手く回せるようになることです。基幹システムの導入により、日々の取引については安定的に運用できるようになりました。今後は、そうして生まれた数字をどのように使っていくかということにフォーカスしていきたいと考えています。
──そうしたビジョンの実現に向けて、今後メリービズに期待することはありますか。
大島:ファイナンス部門に関しては、おかげさまでだいぶ業務が効率化されたのですが、社員数が少ないため、一人ひとりがマルチタスクを抱えてしまう状況は未だに続いています。他の部門に関しても、貴社にお願いできそうな業務を掘り出し、お任せできるところはお任せしたいと思っています。
具体的には、支払い用の請求書の処理や本社への報告書類の取得などをお任せしたいと考えています。今、単純にお任せすれば問題が解決するのか、それとも我々のシステム自体に問題があるのか、根本的なボトルネックを見極めているところです。
──ありがとうございます。最後に、協働させていただいている『バーチャル経理アシスタント』スタッフに向けて、一言メッセージをいただけますか。
大島:さまざまな業務に対応していただき、本当に感謝しております。おかげで他の業務にもだいぶ時間を割けるようになりましたし、プライベートな時間も持てるようになりました。メリービズのスタッフさんなしでは、現在の体制は成り立っていないので、重ねて感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。