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  • すべては「事業継続のための経理構築」──100年続く老舗製缶企業がメリービズを伴走者として選んだ理由

    水戸部製缶株式会社

    業種
    製品製造業(菓子・海苔ほか食品・薬品向けの一般缶製造)
    従業員数
    80名

    1910年の創業以来、1世紀以上にわたり独自の製缶技術を継承し、時代や顧客の変化に応える商品を届け続けてきた水戸部製缶株式会社。同社の総務部は長く一人の担当者が担っており、製缶事業を支えてきた。

    しかし、担当者の定年退職に伴い、業務の引き継ぎを進めることに。半ばブラックボックス化していた膨大な量の経理業務を引き継ぐ必要があるにもかかわらず、後任探しは難航。安定した経理体制を構築することもままならない状況に陥った。

    このままでは事業継続が危ぶまれると判断した総務部の田村様は、社長の水戸部様と共に経理業務のアウトソーシングに着手。メリービズ『バーチャル経理アシスタント』を導入したことで、安定稼働ができる総務部の体制構築に成功した。コア業務に集中できる環境が生まれ、経理DXの促進にもつながっている。

    そこで今回は、総務部の改革を主導した水戸部様、田村様の奮闘の日々について伺った。

    ※以下、敬称略

    長年属人化していた経理業務。定年退職に伴う引き継ぎは難航

    ──長年属人化していた経理業務。定年退職に伴う引き継ぎは難航

    田村:背景には、経理担当者の定年退職がありました。長い間、弊社の経理業務の大半を担当していた方だったので、定年退職を見据えて徐々に引き継ぎを行っており、その過程で『バーチャル経理アシスタント』を導入することになりました。

    ──当時の状況をもう少し詳しく教えていただけますか。

    田村:担当者の定年退職にまつわる課題が顕在化していったのは今から6年ほど前、2017年頃のことです。当時私は人事労務を担当していて、経理はその担当者と総務部長 がメインで回していました。定年退職自体は前々から分かっていたことですので、私も含め総務部 全体で少しずつ引き継ぎを進めていたのですが、難航していました。

    ──経理業務がお一人に集中している状態から引き継ぎを進めるのは大変ですよね。

    田村:そうですね。銀行との交渉など社外折衝に関しては総務部長が行っていたので把握しやすかったのですが、内部の話はその担当者しか知らない業務が多く、完全に属人化した状態でした。とはいえ、退職前に積極的に業務を巻き取るのも、おこがましいなという思いもあり…。引き継ぎが進まない状況が続いていたんです。結局、定年退職の直前にようやく全ての業務を託されたのですが、業務量が膨大で時間もなく、途方に暮れてしまいました。

    ──その担当者様が退職された後はどのような体制になったのでしょうか。

    田村:部長と私とアシスタントが中心となって経理・財務を回していくことになりました。請求業務や在庫管理、仕訳などはアシスタントが引き継ぎ、その仕訳を私が財務会計ソフトに入力して振込まで行う、といった具合です。まさに「人海戦術」と言いますか、膨大な業務を限られた人員でどうにか遂行しようと必死でした。

    しかし、少し経ってからアシスタントが家庭の事情で退職することになり、業務が回らなくなりました。そこで、以前定年退職した方に一時的に戻ってきていただいたり、新たにアシスタントを採用したりしたのですが、それも長くは続かず。数年の間に担当が何度も入れ替わるような状態でした。

    しかも同じタイミングで労務でも退職者が出るなど、総務部門全体が手薄な状態だったんです。「このままでは安定して経理業務を遂行できない」と危機感を覚えるようになりました。

    ──そのような状況で、経理アウトソーシングを検討し始めたということですね。

    田村:そうですね。ただ、個人的に労務のアウトソーシングはイメージがあったのですが、経理でも同じような方法があるのかは分からず。ちょうどその時、社長の水戸部から経理アウトソーシングというものがあると教えてもらったんです。

    すぐにインターネットで検索して、はじめは別の経理アウトソーシング企業に問い合わせました。弊社の規模や状況をお伝えしたところ、メリービズさんをご紹介いただき、『バーチャル経理アシスタント』を検討することになったのです。メリービズさんは最初からご対応が迅速で、「これならすぐやっていただけるのでは」とスピード感に期待したことを覚えています。

    「事業継続には経理アウトソーシングが必須」社内を説得、改革を断行

    ──経理アウトソーシングを提案されたのは水戸部様というお話もございましたが、水戸部様ご自身は当時の総務部の状況をどのようにご覧になっていましたか。

    水戸部:前提として、経理はものすごく重要な部門だと認識しています。一方で、当社のような中小企業では引き継ぎのための余剰人材を抱えておくことは困難。結果として、定年近くなってから後任を探すという状況に陥ってしまっていました。

    加えて、今回のように従業員の離職が相次ぐと「採用して教育しても辞めてしまうかもしれない」という懸念も生じてきます。即戦力として経理の経験や資格を持っている人材を採用しようとすると、それはそれでコストも時間もかかってしまう。

    経理という重要な部門を少しでも安定させるためには、社内で採用・教育に注力するより、スキルが豊富な人に「外から入ってもらう」方が事業継続の観点で良いと思っていました。現に、アウトソーシングであれば、仮に担当が変わっても後任の方に引き継いでいただくところまでやっていただける安心感がありますよね。

    ──ご自身としては、経理業務を外に出すことに対する抵抗感はなかったということですね。

    水戸部:そうですね。当社にとって最もコアになるのは「缶を作る技術を育て継承すること」で、こればかりは社内でしかできないことです。外部委託できる業務を探すと経理・人事・労務などバックオフィス業務が中心になってくるので、人手不足の状況で経理をアウトソースする判断に迷いはありませんでした。

    もちろん経理の中でも社内で適宜判断が必要な業務はありますが、そのほかのルーティン業務は社外の方にお任せできる部分も多いですよね。当社の事業の核を守っていくために、外に出せる業務はアウトソースしていくべき、という判断でした。

    ──『バーチャル経理アシスタント』導入にあたって、貴社内では反対意見も多かったそうですね。

    水戸部:はい。上層部では特に情報漏洩を懸念する声が多く、「絶対だめだ」と反対を受けていました。

    田村:そうでしたね。ただ、アウトソースをしなくてはもう業務が回らない危機的な状況だったので、機密情報管理に重点をおいて説明を重ねたほか、総務部の状況とアウトソーシングの必要性についても説明しました。情報共有・守秘をどのように考えているのかについては、メリービズさんからも丁寧にご説明を受けていたので、その点は私も安心してお伝えできました。

    ──この記事を読んでくださっている方のなかには、同じような課題を感じている方もいらっしゃるかもしれません。具体的にどのように説明されたのか、お教えいただけますか。

    田村:まず、総務部門だけではなく他部門にとっても、バックオフィス業務は欠くことができない点を理解してもらいました。そのうえで、現状は紙媒体で業務を進めているが、今後はクラウドと紙媒体の併用に切り替えていくこと。最終目的は業務に負荷をかけないだけでなく、退職や病欠により人員が欠けることに左右されず業務を継続維持していくこと、などを中心に伝えていきました。

    ただ「業務を楽にすること」を目的とするのではなく、「事業の継承のために安定して経理業務を回していくこと」を軸に説明することでスムーズに理解してもらえたと感じています。また、税理士先生とは以前より、クラウド導入やDX化が必要との共通認識がありました。社内で理解が得られるよう、上層部へのプレゼンにもご協力いただき、助かりましたね。

    アナログな業務フローがアウトソーシング導入の障壁に

    ──社内で合意がとれ、いざ『バーチャル経理アシスタント』を導入することが決まってからも、様々な課題が表面化したと伺いました。

    田村:業務をアウトソースするにしても、そもそも業務フローが整っていなかったのです。先ほどは人手不足、いわゆる体制面の課題をお伝えしましたが、当社の場合、業務フローにも課題がありました。財務会計ソフトはあるもののクラウドではなく、それ以前に紙やはんこを使ったフローが多々残っている状況でした。私自身も、「本当に効率が悪い」と思いながら業務にあたっていたくらいです。

    ──つまり、人的リソースを確保することが喫緊の課題でありつつ、業務フローにも課題があったということでしょうか。

    水戸部:そうです。人手不足だからこそ業務フローの改善もままならず、業務フローが効率化しないので人的リソースがいつまでも圧迫されている、という悪循環に陥っていました。このままでは、経理業務をアウトソースすることすら難しい、という状況でした。

    クラウド会計導入でデジタル化に着手。運用定着までの地道な改善

    ──そこで、人手不足解消には『バーチャル経理アシスタント』を、業務フロー改善については『メリービズ経理DX』、と2つのサービスを併用いただき、経理業務全体を大きく変革していくことになりましたね。

    田村:そうですね。詳細は『メリービズ経理DX』の導入インタビューでもお話ししていますが、業務のアウトソーシングと並行して、クラウド会計システムの導入をご支援いただきました。

    ──アウトソーシングに関しては、どのように進めていったのでしょうか。

    田村:まず、当社の経理業務のルールを整理するところから始めていきました。これには時間がかかりましたが、仕訳ルールなどを改めて整理することができてよかったと感じています。アウトソース、つまり外部の方に業務内容をお伝えするにあたって、これまで同じやり方で進めてきた業務を見直す、良いきっかけになりました。

    例えば、「この科目はどうして設定され、活用されているんだろう」などと勘定科目を中心に、業務の意味合いを復習していった感じです。私自身も前任から引き継いであまり時間が経っていなかったので、不明点を洗い出し、業務への理解を深める機会になりました。

    また、メリービズさんと仕訳や各種データを丁寧に突合し、ミスが起きやすい部分を確認。地道に潰し込みをしていったおかげで、相互理解が深まったと感じています。

    ──地道な業務を通してお互いに理解を深めていき、運用を軌道に乗せたということなんですね。

    水戸部:最初のうちは、メリービズさんと当社の間で密にコミュニケーションを取っていました。チャットの数も多く、打ち合わせも頻繁に行っていただきました。徐々に日常的なチャットの数が少なくなっていき、半年ほどでコミュニケーションが最適化された印象です。

    田村:早いものでメリービズさんとも1年以上のお付き合いとなり、当社の考え方や難しい問題にも丁寧にご対応いただいております。

    メリービズと共に安定稼働できる経理体制を構築

    ──導入当初、メリービズのスピード感を評価いただいたというお話でしたが、ほかに導入の決め手になった点があれば教えていただけますでしょうか。

    田村:ご提案がシンプルで分かりやすく、スケジュールについても早い段階でイメージを掴むことができました。また、様々な業種に精通した経理経験者が在籍されており、当社の状況に合わせてスタッフさんを選定いただける点や、専属コンサルタントがいることで迅速に連携できる点も魅力でした。

    水戸部:例えば、試算表を作る目的は、正しく現状を理解して経営判断をしていくことですけれども、体制が不安定だった時にはそれを作ることで精一杯でした。メリービズさんは納品物にコミットしていただけるので、少なくとも試算表を「作る」部分に関してはこの先も安定する、というのが大きなメリットに感じましたね。当社では試算表を「活用する」ことに集中して、これからのことを考えることができそうだなと。

    ──『バーチャル経理アシスタント』を導入したことで、体制面での課題は解消されたということでしょうか。

    田村:そうですね。アウトソーシングをきっかけに属人化・ブラックボックス化していた経理業務を見える化することができました。新しい方が入ってきたり担当が変わったりしても安定して業務を回していけます。メリービズさんとのコミュニケーションも最適化され、ノウハウや情報の共有もスムーズですね。

    結果として、先ほどのお話の通り、当社としてやるべきことに集中できる持続的な体制を作ることができました。導入当初の狙い通りだと感じています。

    業務見える化・コア業務集中・事業継続…狙い通りの導入効果

    ──今では当初の狙い通り、安定した体制を構築されたのですね。

    田村:メリービズさんに入っていただいたおかげで、例えば私の出張中でも業務を止めることなく、文字通り安定して稼働できる体制になりました。人手不足が大幅に解消されただけでなく、業務の見える化・効率化を進めることができ、一つ一つの処理にかかる時間も短くなりました。

    当初課題に感じていた紙やはんこの業務も少なくなり、紙伝票についてはすべてクラウド会計システムに移行。業務プロセスと共に改善できたことが効率化の要因だと考えています。

    人手不足により事業継続にリスクが生じていた頃の状況と比較すると、企業としての強さや職場としての魅力も高まったのではないでしょうか。

    ──常に業務に追われていた状態を脱し、時間的な余裕ができた部分もあるかと思います。その時間は今後、どのようなことに使っていくのでしょうか。

    田村:試算表を「作る」ことではなく「活用する」ことに時間を割けるようになった、という話がその最たる例かと思います。試算表や月次のデータを参考に、経営上の意思決定を的確に進めたいですね。他にも、経理だけでなく総務や人事にも手を回せるようになったり、DX促進に向けた新しい提案・施策に集中できるようになったりなど、変化を感じています。

    人材育成の観点からも、当社にとってメリービズさんは欠かせない存在となりました。引き続き安定した納品を継続いただくことを期待しています。

    また、法改正やDXなど経理を取り巻く環境が変化していくなかで、メリービズさんから情報提供いただいたり法改正・業務効率化のアドバイスをいただいたりしながら、これからも一緒に体制構築をお願いできればと考えています。

    ──ありがとうございました。

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