そこに「妥協せずに向き合う姿勢」はあるか。一人経理がメリービズを「パートナー」と表現する理由
株式会社DNS
- 業種
- スポーツサプリメントの製造・販売
- 従業員数
- 37名(2023年1月現在)
導入について
本記事で取り上げるのは、プロテインやサプリメントの製造・販売を主としたスポーツニュートリション事業を手がける株式会社DNSの事例だ。同社の設立は2020年。スポーツブランド・アンダーアーマーの日本総代理店である株式会社ドームが2000年に立ち上げたスポーツニュートリション事業を分割、継承する形で創業された。
以上のような経緯から、創業時点で数十億円規模の事業を有することになった同社。それは同時に、創業間もない企業が数十億円規模の事業を支えるバックオフィスを構築しなければならないことも意味していた。
今回お話をうかがった、同社のコーポレート部 に所属する大都 佑太さんは、そんなDNSに「一人目経理」として入社。売掛金の管理や入金後の消込など、事業継続に欠かせない業務にすら手が回らない状況を打破するため『バーチャル経理アシスタント』の導入を決めたという。
メリービズと共に経理体制の基盤を作りあげ、工数削減や脱属人化、業務フローの見える化に成功した軌跡を、一人経理ならではの苦悩や今後の展望を交えて伺った。
会社分割により「販路はあるがコーポレート機能がない」状態に
──はじめに、大都さんが入社された時の会社の状況について教えてください。
DNS創業から3ヶ月が経った、2020年11月に財務経理担当として入社しました。当時は会計ソフトこそ導入されていたものの、物販や債権債務管理システムが構築されておらず、全社的にインフラが整っていない状態でした。
一方で、ドームの事業だったころからお付き合いのあるお客様が多数いらっしゃったので既に数十億円の事業規模を有していましたし、法人のお客様が多いことから明細ベースの細かいお取引も多く存在していました。
──そのような状況で、コーポレート部はどのような課題を抱えていたのでしょうか。
人員不足が大きな課題でした。やらなければいけない業務は膨大なのに、経理人員は私1名。しかも、前職ではFP&A部門で財務データの分析などを担当しており、経理業務の経験はなかったんです。
──それは大変な状況ですね……。どんなことから手を着けていったのでしょうか。
必ず遂行しなくてはならない支払業務から改善していきました。支払含め一部実務を顧問税理士の先生に依頼していたのですが、これを内製化しました。
また、仕入れや受発注を管理するシステムの切り替えにもリソースを割いていました。2021年9月まではドーム側のシステムを使えることになっていたのですが、それ以降はDNS単独で管理することになっていたんです。製品管理は事業の根幹に関わるので、移行期間後の本格的な切り出しに備え、急ピッチで準備を進める必要がありました。
必要な時に必要な分だけ。決め手は「柔軟性の高さ」と「豊富なノウハウ」
──事業に直接関わる業務から整えていったのですね。
はい。ただ、先ほどご説明した通り、経理システムの立ち上げなども進めなくてはなりません。売掛金の管理や入金後の消込を誰がやるのか、というところから考える必要がありました。
営業サポート部門が候補に挙がりましたが、営業で使用する受発注のシステムも新しくなったばかりで対応に追われており、リソースを確保できないと。結局経理担当である私が消込業務などを行うことになりましたが、とても工数を割ける状態ではなくアウトソーシングを検討するようになったんです。
──社員採用や派遣などリソースを補充する方法はいくつかありますが、なぜアウトソーシングを選んだのでしょうか。
繁閑の差が激しく、特定の期間に工数が膨らむ業務が多かったからです。社員を1名採用することも検討しましたが、リソースが浮いてしまう時期ができることが判明しました。税理士への依頼を増やすことも考えましたが、そもそも経理実務の処理業務に特化している方ではなかったんですよね。業務の質を担保しつつ必要なときに必要な分のリソースを確保する方法として、アウトソーシングサービスは理想的な選択肢だと感じました。
──メリービズにお問い合わせをいただいたのは、2021年の7月ごろだったと聞いています。本格的に導入を進めようと思われたのは、何かきっかけがあったのでしょうか。
事業承継の移行期間終了を翌月に控え、移行終了後の業務量を可視化したことがきっかけです。システムをDNS独自のものに切り替えた後、どのような業務をどれくらい自分で行う必要があるのかを明らかにしてみると、想像よりもはるかに多くて……。
それまではドーム側にやってもらっていたことも多かったので、売掛金の照合や消込に要する工数を正しく見積もれていなかったんです。相変わらずどこの部署も手一杯だったので、アウトソーシングの導入をするしかないと。
──複数のアウトソーシング会社で迷われていたそうですが、なぜメリービズを選んでいただいたのでしょう。
一番の決め手は、柔軟性が高いこと。先ほど申し上げた通り、繁閑の差が激しい業務を依頼したかったので、業務量に応じて実務スタッフの人数を調整できる点は大きな魅力でしたね。また、担当コンサルタントによる丁寧なオンボーディングや月に1度の打ち合わせなど、こちらのやり方に合わせて業務設計を進めてくださる点や、業務を担当いただくスタッフさんの経験が豊富なことも決め手になりました。
業務を外に出す難しさを実感。一時は業務引き継ぎに苦戦
──体制が十分に整わない中でアウトソーシングを開始したことになると思いますが、どのように導入の準備を進めたのでしょうか。
ドームからの引き継ぎが終わっていなかったこともあり、メリービズさんへの依頼内容は非常に曖昧な状態でした。照合・消込・請求書対応など依頼する業務内容こそ決まっていたものの、それぞれの対応件数や所要時間などが明確ではなかったので、依頼する業務の工数を明確にするところから始めました。
──導入当初から色々とハードルがあったとか。
そうですね。思っていたよりもすぐにお願いできる業務が少なく、これが最初のハードルになりました。ドームからの引き継ぎ過程で取引先件数を実際より多めに見積もってしまっていたり、そもそも社外の方に依頼できるオペレーションになっていなかったり……。
業務量が多いからアウトソーシングしたのに、そこに「アウトソーシングするための準備」という作業が重なり、なかなか前に進められない状態でしたね。想定していた依頼内容と作業量に合わせて、メリービズさんには4名のスタッフさんをアサインしてもらっていたのですが、思うように準備が進まず、スタッフさんが満足に稼働できる環境を作るまでに時間がかかってしまいました。
──スタッフが業務を開始してからはスムーズだったのでしょうか。
簡単ではなかったですね。業務を開始してみると、販売管理システムに記録されているデータと取引先から受け取るデータが違うなど、数字にずれが生じることが多かったんです。1件ずつ原因を特定する必要がありますから、しらみ潰しにメリービズさんと確認を進めるところから始めました。
月ずれの関係でやむなく差異が発生していることもありましたが、主な原因は人的ミス。事業承継でシステムが切り替わったことも主因となり、ヒューマンエラーが相次いでいることがわかったんです。メリービズさんに入っていただいてからは1件ずつ丁寧に確認しながら処理する体制が整ったので、3ヶ月ほどかけて数字のずれを解消することができました。
密な連携でフローを確立。委託量も増え大幅に負担軽減
──運用に際して、業務フローはどのように整えていったのでしょうか。
導入時から少しずつ業務マニュアルを作成し始め、不明点は都度メリービズさんから確認してもらう形で進めていきました。フローについては当初からある程度整っていたのですが、それを正しくメリービズさんにお伝えするのに時間がかかった印象です。例えば、取引先ごとに参照するデータ/箇所が異なるにもかかわらず、それをきちんとお伝えできていなかった。
取引先ごとにどのデータを抽出してどこにどう反映するのか、これも1社ごと丁寧に認識を揃えていきました。最終的に、各社ごとのフローと全体のフローが確立したのが2022年3月頃でした。
──数字のずれが解消され、フローを確立したのが3月頃で安定運用フェーズに入ったのは9月とお伺いしています。この期間はメリービズとどういったやり取りをしていたのでしょうか。
実務を進めていただきながら、毎月打ち合わせを実施して私が抱えている業務を手離れさせるための話し合いをしていました。
一人経理で業務量が多い状況は続いていましたし、先ほどのご説明の通り想定より依頼量が少ないところからスタートしていたので、もっとお願いできることはないか一緒に探していただいたんです。そのかいもあって次第にお願いできる業務が増え、私自身の負担はかなり軽減されました。今後は振込データの作成もお願いすることになっていますし、一層力をお借りしたいと思っています。
「外部の人」の枠組みを超え、共に進んでいくパートナーに
──大変なことも多かったのですね……。
そうですね。依頼できる業務が少ないという想定外の課題にはじまり、事業継承に起因する数字のずれを解消したり、引き継ぎに時間がかかったりなど、業務を外に出すまでにさまざまな苦労がありました。たしかに、業務オペレーションを構築するまでは大変でしたが、少し無理をしてでもアウトソーシングの体制を整えたことで、今はすごく楽になったと感じています。
──メリービズを導入してよかったと感じている点があれば教えてください。
個人的には、業務をなかなかお渡しできなかった時に、メリービズさんが「大都さんのリソースを空けることが最も重要なんです。大都さんが自分でやってしまっては何も前に進まないから、早く業務を私たちに任せてほしい」と繰り返し言ってくださっていたことが印象に残っています。
──一人経理ということで、業務を外に出すための工数すらかけたくないお気持ちは理解できますが…。
そうですね。ただ、メリービズさんが真剣に向き合ってそのように声をかけてくださったことで、私も本来の目的に立ち返ってアウトソーシングを進めようと思い直すことができました。
前職時代から色々なパートナーさんとお仕事をしてきましたが、こういった関係性を築けることは少ないと感じています。メリービズさんが「アウトソーサー」ではなく「パートナー」として本気で指摘してくださったからこそ、今の体制が構築できたのだと感じています。
アウトソーシングにより工数削減・脱属人化・仕組み化が大きく前進
──運用が始まって2ヶ月ほど経過しましたが、現状をどのように捉えていますか?
一番は、私自身の工数を大幅に削減できてよかったと感じています。
照合・消込・請求書発行など特に月末月初に集中する業務を依頼しているのですが、この時期は財務関連の業務も増えるので、メリービズさんにお願いする前はものすごく負担になっていました。特に去年の年末は事業承継によるシステムの切り替えも重なり、本当に大変でした。今はだいぶ改善され、残業時間もかなり減りましたね。
──今後、大都さんご自身が取り組んでいきたいと思っていることを教えてください。
仕組み化やマニュアル化を進めていきたいです。アウトソーシングする過程で業務フローを明確化できました。一人経理ということもあり、以前は「自分だけわかればいい」と処理を進めることが多かったのですが、メリービズさんとのコミュニケーションを通して、誰がみてもわかるような形・抜け漏れがない仕組みをつくるきっかけができました。直近は、アルバイトの方と協力しながらマニュアル整備や数字の見える化などを進めており、アウトソーシングを契機に業務の改善サイクルが回り始めたと感じています。
まだ整えている最中ではありますが、誰がいつ入ってもわかるような業務フローの構築を最優先で進めていきます。
──そのなかでメリービズに期待していることはありますか。
今お願いしている業務のなかでまだ確立していないところを整理していただきたいと思っています。先ほどのお話の通り、支払いデータの作成もお願いさせていただく予定なのでそのあたりも引き続き一緒に進めていければと思います。DNSに残っている実務も多数あるので、またご相談させてもらえればと思います。
──本日はありがとうございました!