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  • スピードと正確性とノウハウが“信頼”を裏打ちする。伊藤忠丸紅鉄鋼が段階的に業務をアウトソースした理由

    伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社

    業種
    メーカー・商社・卸売
    従業員数
    948名(2022年4月1日現在)

    導入について

    今回インタビューに応じてくださったのは、鉄鋼製品等の輸出⼊などを⼿掛ける伊藤忠丸紅鉄鋼の経理部のみなさん。経理部で部⻑代⾏を務める鍵冨 善宏さんは「かつて、⼈員不⾜が原因でメンバーの負荷が増⼤し、組織に閉塞感が漂ったり、多残業や日常業務とプロジェクトの両立が出来ない等の弊害が起きてしまっていた」と語る。

    そんな状況を改善するために導⼊したのが、メリービズの『バーチャル経理アシスタント』だった。⽀払い業務の代⾏から始まったメリービズのサポートは、段々とそのスコープを拡⼤。今では、営業経理から連結決算・IFRS対応・財務諸表作成など⾼度な会計業務を共に推進している。

    本記事では鍵冨さんに加え、現場で営業経理業務を担当している菊地奈央さんと関彩佳さんをお招きし、取り組みの軌跡を伺った。

    従業員は約1,000名。「この規模ならでは」の難しさがある

    ──まず、みなさんが所属する営業経理第⼆チームの業務内容から教えてください。

    鍵冨:担当する営業本部の決算を締めることが役割の⼀つです。弊社には営業本部が5つあり、営業経理第⼆チームではそのうちの3つを担当しています。そして、それぞれの営業本部の傘下には複数のグループ会社があり 、四半期ごとにそれらの数字を含めた連結決算をまとめることも我々の役⽬です。

    厳密に⾔えば、全社の連結決算を仕上げるのは決算管理チームという経理部内の別チームです。しかし、仕上げの前段階、具体的には各グループ会社から上がってくる数字の整合性を確認し、必要に応じて勘定科目の組み換えやIFRS修正仕訳を⾏うといった作業は営業経理チームが担当しています。本部ごとの連結決算に関する作業工程の3分の2ほどは、営業経理チームが担当しています。

    ──営業経理というと、事業部の相談や問い合わせに応じながら、部ごとの数字をまとめるというイメージが強いですが、貴社の場合はそれだけではない?

    鍵冨:そうですね。当然、個別の取引の仕訳に関するものからシステムの使い⽅に⾄るまで、営業本部からの問い合わせは多いですし、それらに対応するのも私たちの重要な仕事です。しかし、弊社の営業経理チームに求められるのは、そういった業務だけではありません。

    そういう意味では、⼤企業の営業経理部⾨と主計部⾨の一部を兼ねた機能を備えているようなイメージでしょうか。現在、弊社の従業員は単体で948名 (2022年4月1日現在) です。もっと規模が⼤きな会社であれば、経理部内に連結決算を担当する専任チームと各営業部の決算を担当するチームがあって、それぞれが独⽴して業務を⾏っていると思います。逆に、もう少し規模が⼩さい企業であれば、チームを分けず経理部としてさまざまな業務を担当しているでしょう。
    私たちは、まさにその中間。つまり、伊藤忠丸紅鉄鋼の営業経理チームのメンバーは、それぞれの営業部⾨がどのようなビジネスを展開しているのか詳細まで把握した上で、営業部⾨の決算を担当しなければなりませんし、同時に連結決算に関する業務知識も持っていなければなりません。幅広い知識とスキルが求められる環境です。

    ──⼤きな数字を扱うためのスキルだけでもいけないし、細かな数字を把握しながら各営業部に伴⾛するだけでも⽚⼿落ちだということですね?

    菊地:はい、⾃らが担当する営業部の数字さえわかっておけばいい、というわけではないんです。⼊社当時から⽐べると業務の幅はかなり広がりましたし、それに応じてどんどん知識を吸収していかなければならないと⽇々感じています。

    「通常業務+新規プロジェクト+⼈員削減」で残業時間が危険⽔域に

    ──幅広い業務を担当されておられるということで、組織としての課題も少なからずあったのではないでしょうか?

    鍵冨:最も⼤きな課題は、残業過多でした。メンバーの残業時間が⼤幅に増えてしまった時期があったのです。先程申し上げたように、営業経理の仕事は幅広く、それだけでも⼤変なのですが、 内部統制を強化するためのプロジェクトが⽴ち上がり、社内報告や会計監査における報告事項が増え、メッシュがより細かくなりました。もちろん、プロジェクトが⽴ち上がる前までも細⼼の注意を払って計数を確認していましたが、さらに細かな確認作業を⾏う必要性が⽣じました。

    また、新型コロナ禍による在宅勤務の増加や電⼦帳簿保存法への対応等も考えなくてはなりませんでした。それまで紙で管理していた請求書や契約書などをペーパーレスで確認・回付・処理した上で電⼦保存する、いわゆる経理業務のペーパーレス化を推進することに。

    ──通常業務に加えて、ということですよね?それはかなり⼤変そうですね……。

    鍵冨:それだけではなく、 人事異動等もあって部内で経験値の高いメンバー数が減ってしまっていました 。弊社は事業投資等も活発ですので、営業部やグループ会社の決算体制や内部統制を強化するために経理知識を持った⼈材を配置しようという案が持ち上がり、結果、経理部から ⼈員を派遣する必要があったためです。その結果、経験値が高い人員を中心に⼀⼈ひとりの業務負担が爆発的に増⼤し、残業時間が危険⽔域に達してしまうような状況になってしまったのです。

    ──現場はどのような状況だったのでしょう?

    菊地:それはもう……。⼊社して経理部に配属されたとき「経理って季節労働者みたいなものだよ」って⾔われたんです。「四半期決算の時期とかは忙しくて、それ以外はそうでもないってことなのかな」と思っていましたし、実際に新⼈時代はそうだったんですけど、徐々に「おや︖ 話が違うぞ︖」と(笑)。

    もちろん、締⽇あたりが⼀番忙しいことは間違いないのですが、締まったからといってすごく楽になるというわけではなくて、ずっと忙しいんですよね。そこに新たなプロジェクトに関する業務が加わり、⼈も減ってしまったのでとても⼤変でした。

    アウトソーシングを導⼊したのは、残業時間を減らすため「だけではない」

    ──「残業時間をいかに減らすか」という課題に対する打ち⼿としては、どのようなものを考えたのでしょう?

    鍵冨:⼀般的な打ち⼿は「⼈を増やす」ですよね。考えられるのは、「異動」と「採⽤」です。しかし、「経理知識を持った⼈材を事業部にも配置する」という考えのもと、経理部から⼈を動かしたばかりだったので、すぐに異動によって⼈員を取り戻す ことは難しい。

    次に考えたのは採⽤です。しかし、この⼿段も短期的な解決策としては難しいと思いました。理由としては、先ほど⾔った「弊社ならでは」の事情があるからです。連結決算に関するスキル、あるいは営業経理に関するスキル「だけ」を持った⼈材であれば、採⽤は難しくないかもしれませんが、弊社の営業経理チームが求めるのは、どちらのスキルも有する⼈材です。

    もちろん、いずれか⼀⽅のスキルを持っている⼈材を採用して時間をかけて育成することはできますし、実際に実行にも移していましたが、 育成して課題を解決するまでには一定の時間がかかってしまう。残業過多という問題は、すぐにでも解決しなければならなかったので、当時置かれていた状況を即座に改善するためには採⽤以外の特効薬も必要だと判断しました。

    ──そうして、アウトソーシングを検討することに?

    鍵冨:その通りです。ただし、「メンバーの残業時間を減らす」という短期的な⽬的のためだけに、アウトソーシングを導⼊しようと考えたわけではありません。BCP(事業継続計画)の観点からも、この⼿段が最適だと判断したのです。

    ⼈員が不⾜していたということもあって、たとえばメンバーの誰かが病気などで⻑期的に働けなくなってしまったとき、確実に業務が停滞してしまうことが予想されました。

    業務が属⼈化してしまっていて、その継続性が担保されておらず、常々この状況をどうにかしなければならないと考えていました。定型化できる業務を外に出し、安定的にその業務を遂⾏し続けるための体制を構築できるアウトソーシングは、まさに最適な打ち⼿だったわけです。

    ──経理業務のアウトソーシングサービスを展開しているのは、メリービズだけではありません。なぜ、選んでいただいたのでしょうか。

    鍵冨:最も信頼できると感じたからです。複数社のお話を聞かせていただいたのですが、その中でもメリービズさんの体制なら、安⼼して業務をお任せできると感じました。業務を担当するスタッフさんの数も多いですし、万が⼀スタッフさんの⼊れ替わりがあったとしても、問題なくスムーズに業務を遂⾏する体制を整えていることを聞き、メリービズさんにお願いしようと。

    委託する業務を⾒極め、スムーズな導⼊を実現

    ──導⼊はどのようにして進めていきましたか?

    鍵冨:早急に業務を巻き取っていただきたい気持ちはあったものの、こちらが何も考えずに「こんな業務があります。やれることをお願いします」では、乱暴すぎるかなと。ですので、まずは私たちの中でどのようなルーティン業務があるか、それらをどのように進めているかを整理した上で、段階的にお願いしていく必要があると考えました。

    まずは菊地や関が担当していた⽀払い取りまとめ業務からお願いし、その次は経費の事後点検、その次は、また別の業務をといった感じで徐々に依頼する業務を増やしていきました。信頼できると感じていたとはいえ、いきなり経理業務のすべてをお願いするのは少しリスクがあるのではないかとも思いましたし、無理なく段階的に進めていけたことで検討・準備に十分な時間を確保することが出来た点は良かったです。

    ──導⼊はスムーズに進んだのでしょうか?

    菊池:「⽣みの苦しみ」はありましたね。先ほど申し上げたように、業務を引き継ぐ段階では、かなりリソースが逼迫していた状況だったので、こちらとしてもとてもぎりぎりの状態で……。通常業務をこなしながら、メリービズさんに業務内容を説明するためのマニュアルをつくったり、それをどう説明しようか考えたりしなければならなかったので、運⽤が始まるまでは、なかなか⼤変でしたね(笑)。

    関:正直に⾔えば、最初はあまり乗り気ではなかったんです。「業務委託なんてできるのかな︖」と思っていて。でも、お願いする業務についてお話をさせていただく中で、その不安は徐々に解消していきました。

    というのも、営業経理として担当している課の経理業務とは別に、⼤⼝の取りまとめや、全課分の⽀払い、請求書の振り分けといった業務があるんです。そういった業務を委託させていただけるとのことだったので、それなら⼤丈夫かもと。そして、そういった業務の中で、作業が開始できるようになるタイミングから締め切りまでの時間が短すぎず、イレギュラーも起きにくい業務からお願いすることになり、⽀払いの振り分け業務からスタートしたという感じですね。

    「その業務の進め⽅は、あの⼈しか知らない」状態からの脱却

    ──『バーチャル経理アシスタント』を導⼊してよかったと感じることがあれば教えてください。

    関:業務フローや進め⽅の⾒直しができたことですね。菊池の⾔う通り、業務の内容や進め⽅について「どう説明したらスムーズに理解してもらうだろう」と考え、マニュアルなどに落とし込んでいくのは簡単なことではありませんでした。でも、メリービズさんは「いま弊社ではこのように業務を進めているのですが、もっと効率的に進める⽅法はありますかね︖」と聞くと、より良い⽅法を提案していただけ るんですよね。

    たとえば、その提案によって業務のペーパーレス化を進めるヒントをいただけたりもしました。元々、弊社では紙を⽤いる前提で行っている業務が少なくありませんでした。でも、メリービズさんへの業務委託を進めていくために、という理由だけではなく、リモートワークが可能な環境を整えるためにも業務のペーパーレス化を急がなければならない時期でもありましたので、 ペーパーレス化の推進は必⾄かつ急務という状況でした。そういった状況下、ペーパーレス化推進に関するノウハウを提供いただけたのは、とてもよかったですね。おかげでかなりスムーズに紙運⽤から移⾏することができたと感じています。

    菊地:お願いしている業務は、私たちが担当している業務の中では緊急度はそれほど⾼くはないものの締切は決まっていて、必ずある程度の時間を割かなければならないといった性質のもので。だから、優先順位がどうしても下がってしまい、20時くらいから⼿を付けるといった状態になっていたんです。業務量は時期によって変動するので、すべての時期がそうだというわけではないのですが、繁忙期であれば業務が完了するのが22時くらいになってしまっていて……。

    『バーチャル経理アシスタント』の導⼊によって、そういった「優先順位は⾼くないけど、必ずやらなければならない業務」が⼿から離れ、他の業務に集中できるようになったのは⼤きいですよ。業務時間がかなり短縮されたので。

    鍵冨:マネジメント⽬線で⾔えば、残業時間削減に加えて、業務の属⼈化から脱するきっかけになったことも最も⼤きいメリットの一つですね。導⼊前は、それぞれのメンバーがそれぞれの業務を1⼈で担当していたため、業務がブラックボックス化していました。『バーチャル経理アシスタント』を導⼊し、メリービズさんに業務を引き継ぐ過程で、ブラックボックスの中にあった業務が可視化されたんです。

    今では誰がどの業務を担当することになっても、ある程度はすぐにキャッチアップできるような体制になっていますし、これは導⼊によって得られた⼤きな効果の⼀つでしょう。

    共に現在のオペレーションに磨きをかける

    ──今後、メリービズと取り組みたいと考えられていることがあれば教えてください。

    菊地:かなりの業務が「誰でもできる状態」になったとはいえ、属⼈化してしまっている業務が全てゼロになったわけではありません。「もし、私が⻑期⼊院してしまったら、この業務は誰が担当するんだろう……」と思うことがないとは⾔えないので、今後は業務の可視化をどんどん進めていきたいですね。ゆくゆくは「すべてのメンバーがすべての業務を担当できる状態」を、メリービズさんとつくっていければいいなと思っています。

    関:現在⼀緒に取り組んでいる業務の中でイレギュラーが発⽣したとき、対応⽅法を相談した上で、マニュアルに落とし込んでいただいています。そうやって、どんどんマニュアルなりオペレーションを更新していただいているのがとてもありがたいと感じていますし、今後も共にブラッシュアップしていきたいですね。

    かつ、メリービズさんは複数⼈で業務をチェックする体制をつくってくださっていて、それによって業務の正確性を担保されている。経理業務は何よりも正確性が重要なので、今後も引き続き、協⼒しながら迅速かつ正確に業務を進めていければと思っています。

    鍵冨:共に業務を進めていくための下地は整ったと感じています。今後は、協働体制をブラッシュアップしていくことに取り組みたいですね。

    かなりスムーズに業務を進められるようになりましたが、細かい部分については改善の余地が残されていると思います。まずは、共にスピード⾯、精度⾯により磨きをかけていきたいです。そして、次年度以降にはより範囲を広げてお任せする可能性も⼤いにあると思っています。

    これからもよきパートナーとして、末永くよろしくお願いします。

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