経理業務はAIに代替される?今後の経理担当者に求められることとは

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AIが普及し、経理業務がAIに代替されるのではないかと不安に思う経理担当者の方もいるのではないでしょうか。本記事では、AIが代替できる経理業務について具体例を挙げて解説します。またAI時代の経理担当者に求められる能力についても挙げているため、ぜひ参考にしてください。

1.AIによって経理の仕事はなくなるのか?

「AI技術が発展し、AIによってなくなる仕事がある」という意見を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。2015年に野村総合研究所が発表した資料*によれば、日本の労働人口の49%が、今後人工知能やロボット等で代替可能になると推測されています。

しかし、結論として、AIが普及することにより経理業務のすべてがなくなるわけではありません。経理には多くの業務があるため、AIによって自動化されるものと、人間の手でなければできないものとに分けられます。いわゆる日常で繰り返し行われる業務であるルーティンワークは、AIによって今後代替されていくことが予想されます。一方で複雑な判断が必要とされる業務は代替されないでしょう。

経理担当者がAIが普及していく中で活躍していくためには、一層付加価値の高い経営力やマネジメント力をつけるなど、変化が求められているといえます。

*参考:野村総合研究所|日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に

2.そもそも経理業務にはどんな種類がある?

そもそも経理業務には、どのような種類があるのでしょうか。経理の具体的な業務内容を、日々発生する日次業務、1ヶ月ごとの対応が必要な月次業務、1年に1度発生する年次業務に分けて、詳しく見ていきましょう。

 

日次業務 売掛金・買掛金の管理
請求書や領収書の発行
現金・小切手・手形の管理
預金の管理
経費の仕訳や精算 など
月次業務 請求書の作成
売掛金の計上、入金消込
取引先への支払い・債権回収
月次決算や棚卸し
給与計算・支払い
保険料の納付 など
年次業務 決算書作成
税務申告
株主総会
社会保険の算定基礎届提出 など

 

経理は会社のお金や取引の流れを管理する、企業活動の要の部門です。日々の取引やお金の流れを記録し、売上や費用、資産管理を行います。また取引に伴う請求や支払い、社員の給与計算や経費、交通費の管理なども、経理の仕事です。日々の会計処理だけではなく、月ごとの月次業務、年次業務もあります。

経理は簿記や会計などの高い専門性が求められるほか、他部署とのやりとりを円滑に進めるためのコミュニケーション能力も必要な業務です。経理の仕事内容について詳しくは以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。



こちらもおすすめ|経理の仕事内容とは?日次・月次・年次業務や会計・財務との違いを紹介 | バーチャル経理アシスタント


 

3.AIが代替できる経理業務とは

多くの業務がある経理ですが、AIが代替できる経理業務として挙げられるのは、以下の2つです。

  • 定型・ルーティン業務
  • 大量のデータを扱う業務

順番に見ていきましょう。

3-1.定型・ルーティン業務

AIが代替できる経理業務としてまず挙げられるのは、定型・ルーティン業務です。経理には入金チェックや振込リスト作成、データの編集、一定のフォーマットに沿った帳簿の作成といった単純業務も多く存在します。

ある程度パターン化された業務はもともとロボットの得意分野ではありますが、AIはさらに決められた動作だけではなく、機械学習によって動作の精度を高められます。AIを活用した具体例については後述しますが、記帳や仕訳などの定型業務はもちろん、ルールの説明や問い合わせ対応なども、AIが代替できます。

今まで人の手によって入力し、時間をかけていた業務がAIによってシステム化されれば、経理担当者は、AIが代替できない業務に集中できるでしょう。

3-2.大量のデータを扱う業務

大量のデータを扱う業務も、AIが代替できる経理業務です。経理は、データの入力や請求書の発行などの業務があり、企業によっては大量のデータを扱わなければいけません。

大量のデータの中から必要なものを見つけ出し、集計することもあるため、複雑なデータであれば担当者の大きな負担となってしまう場合もあります。AIを活用すれば、大量のデータから必要なものを抽出するだけでなく、処理や加工も可能です。

膨大なデータ処理は、まさにAIの得意分野といえるため、今後定型・ルーティン業務や大量のデータを扱う業務に関しては、AIが担っていく可能性が高いでしょう。

4.経理業務におけるAI活用の具体例

経理業務におけるAI活用の具体例としては、以下のものがあります。

  • 請求書や領収書のデータ化・転記処理
  • 仕訳登録・帳簿作成
  • 社内問い合わせ対応

順番に見ていきましょう。

4-1.請求書や領収書のデータ化・転記処理

経理業務におけるAI活用の具体例としてまず挙げられるのは、請求書や領収書のデータ化・転記処理です。請求書や領収書は従来、紙で発行されることを前提としていました。

e-文書法によって国税関係書類以外の書類にも電子化が認められたものの、未だに紙での請求書や領収書を発行し管理している会社もあります。紙ベースの書類を人間が読み取りデータ入力をすると、多くの時間がかかってしまいますが、AIを活用すれば大幅な業務の効率化が可能です。

請求書や領収書のデータ化・転記処理は、具体的にはOCRなどのAIが活用できます。OCRとは画像データのテキスト部分を認識し、文字データに変換する光学文字認識機能のことで、請求書の各項目を高い精度で認識し、適切な勘定科目に割り当てます。ただし、精度が不十分な場合もあるので、現時点ではデータ化、転記されたものを人間の目でチェックすることが必要です。

4-2.仕訳登録・帳簿作成

仕訳登録や帳簿作成も、AI活用の具体例です。経理は日々の取引を記録し、整理しなければなりません。

人の場合、簿記知識を活用して勘定項目に仕訳し、損益計算書や財務書類などを作成する必要があります。一方でAIを使えば金融機関の入出金やクレジットカードの利用履歴などを参照し、自動で仕訳・会計ソフトへの登録が可能です。

仕訳業務は入力ミスが発生してしまえば、後々トラブルにも発展しかねません。仕訳業務を自動化し、機械学習によって高精度化していけば、ミスのない入力業務が可能になるでしょう。現時点でAI活用を考えられている方は、補助的な位置づけで捉えておくことをおすすめします。

4-3.社内問い合わせ対応

最後にご紹介するAI活用の具体例は、社内の問い合わせ対応です。正確性の求められる経理業務では、問い合わせ対応にかける時間をなるべく減らすことで、担当者の負担が減らせます。

経理業務の社内問い合わせ対応には、チャットボットなどのAIが活用できます。チャットボットとは「チャット」と「ロボット」をかけ合わせたもので、ユーザーからの質問に自動で返答してくれるプログラムです。

チャットボットは過去の問い合わせ事例を学習しながら、利用者に最適な回答を行ってくれます。データの蓄積により利用すればするだけ精度も高まり、24時間365日問い合わせに対応してくれるため、繁忙期で手が離せない状況や、担当者が不在の場合でも安心できます。

5.AI時代の経理担当者に求められること

AIが代替できる経理業務やAI活用の具体例について見ていきましたが、これからのAIやロボットで効率化される時代、いわゆるAI時代の経理担当者に求められることは、以下の2つです。

  • AIを活用する能力
  • コミュニケーション能力

順番に解説します。

5-1.AIを活用する能力

AI時代の経理担当者に求められる能力は、AIを活用する能力です。AIによって定型・ルーティンワークや大量のデータを扱う業務は代替できますが、AIをどのように活用していくのかを考えるのは、私たち人間の役割といえます。また、完全に代替できるまでにはタイムラグがあるため、発展途上の状態でどの程度AIを活用するかの判断を行うことも、人間にしかできません。

現在の業務をAIが代替できるように適切な指示を出すことや、活用することによるリスク、制約など、多くの知識と理解が必要です。ビジネス現場での知識をもち、AI技術についても詳しい人は、これからの時代に重宝されます。

AIを活用する能力を手に入れるためには、日頃から情報をキャッチアップしていくことが必要となります。多くの企業でAIや経理に特化したセミナーを開催しているので、そういった外部セミナーを活用してみると良いでしょう。

5-2.コミュニケーション能力

AI時代の経理担当者には、コミュニケーション能力も必要です。AIの進歩に伴い経理業務は効率化されますが、他部署の人間や上司とのコミュニケーションは変わらず続きます。

AIがチャットボットなどで問い合わせに対応できるといっても、現状では人間の心の奥底にある意思を正確に読み取ることは困難です。会社のお金を管理するという最も重要な業務を担う経理担当者は、AIを上手に活用しつつ、上層部の意思を捉えた最適な組織マネジメントが求められるでしょう。

6.AI活用など経理のDX化推進なら「メリービズ経理DX」にご相談ください

AIによって今後経理業務の一部は代替されていくことが予想されますが、AIをうまく活用し、適切なデータを素早く扱えるようになれば、大幅な業務効率化につながります。しかしAIの活用を進めたいと考えていても、リソース不足や専門知識を持つ人材が社内にいないといった課題を抱えている場合もあるでしょう。

『メリービズ経理DX』であれば、経理のDX化を推進することが可能です。ビジネスコンサルタントや公認会計士などのプロフェッショナルが、現状や課題を確認し、あるべき姿の認識を合わせた上で、経理DXを推進します。

以下のページでは、メリービズ経理DXの詳しいサービスを記載しています。強みやコンサルティングメニュー、導入事例なども載っていますので、興味のある方はぜひご覧ください。

メリービズ経理DX

AI時代の経理業務についてまとめ

AI技術が普及し、世の中のさまざまな仕事がAIに取って代わられると言われています。経理業務はすべてが代替されることはありませんが、定型・ルーティン業務や大量のデータを扱う業務など、AIの得意分野であるものは、今後AIによって進められていくでしょう。

AIを活用した業務を行う経理担当者に求められるのは、AIを活用する能力や、AIが苦手なコミュニケーション能力を伸ばすことです。「AIは仕事を奪う脅威」ではなく、「業務を効率化し、コア業務に集中できるためのツール」と捉え、AIを活用してさらに業務を効率化できる人材が求められています。

実際に、AI-OCRの導入や、経理のDX化に取り組みたいものの、リソース不足や知識不足でお悩みの方は、ぜひメリービズにご相談ください。
オンライン経理アウトソーシング「バーチャル経理アシスタント」で得た知見や、累計850社以上を支援してきた実績をもとに、経理DXを推進します。

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