経理部門の離職率は高い?原因や離職率が低い企業の特徴を解説

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経理は専門性が高く、日次・月次・年次業務など期日の決まった業務が多いことが特徴です。
業務の効率化や育成環境が整っていない企業では、経理部門の離職率を気にされる企業もいることでしょう。

本記事では、経理部門の離職率が高くなりやすい企業の特徴や、離職率を下げるための対策について詳しく解説します。

1.経理部門の離職率は高い?

実際に経理部門の離職率は高いのか、詳しく見ていきます。

1-1.経理部門の離職率

経理部門における離職率について、正確なデータを把握することは容易ではありません。
経理部門の離職率が公的な統計として明確に示されていないためです。しかし、経理の働き方や業務上の性質から、常用労働者全体の離職率との共通点があります。

厚生労働省の令和4年雇用動向調査結果によると、常用労働者の離職率は15%にのぼっています。常用労働者とは、正社員だけではなく1ヶ月以上の期間を定めて雇われている従業員も含みます。この常用労働者の離職率は、経理部門の働き方にも反映されていると考えられます。

経理業務は、専門知識と高い責任を求められる一方で、成果が表に出にくく、労働に対する評価や待遇に不満を抱くケースが少なくありません。そのため、「仕事は忙しいのに評価されにくい」「残業が多いが待遇が十分でない」という声も聞かれます。

また、経理業務では特定の担当者との連携が多く、人間関係のストレスが離職の一因となることもあります。厚生労働省の令和4年雇用動向調査結果によると、経理部門に限らず人間関係の悩みや不満が理由で退職する割合は、男性8.3%、女性10.4%とされています。

これらの統計データや経理部門の特徴を踏まえると、経理部門における離職や退職は、企業にとって深刻な課題と言えるでしょう。常用労働者全体の傾向をもとに考察することで、経理部門における人材流出が重要なテーマであることが浮き彫りになります。

出典:-令和4年雇用動向調査結果の概況-(厚生労働省)

経理担当者が退職する理由を詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

2.経理部門の離職率が高い企業の特徴

経理部門の離職率が高い企業には次のような特徴があります。

  • 繁忙期の業務量が多すぎる
  • 育成環境が整っていない
  • コア業務や経営管理業務の割合が少ない

それぞれ詳しく見ていきます。

2-1.繁忙期の業務量が多すぎる

経理部の業務は繁忙期と閑散期があり、それぞれの業務量に差がある場合が多いため、繁忙期には残業時間が膨らんだり、休暇が取りにくくなったりします。
また、経理部門は企業運営の基盤を支える重要な役割を担っていますが、間接部門と言われることもあるため、人員を削減する企業もあり、残った従業員の負担がさらに大きくなっているケースもあります。

特に法人の確定申告や決算期などは開示期限があるため、期日に合わせて業務を終わらせる必要があり、残業時間が膨らんでしまうことも少なくありません。
一般的な決算期が3月の企業の場合、11月から翌年の5月までは経理の繁忙期にあたるため忙しく、「残業が多いわりに評価されにくい」「ライフワークのバランスが取りづらい」という不満の声が上がるケースもあります。

2-2.育成環境が整っておらず、スキルアップの機会が少ない

育成環境が整っていないことで離職率が高まるケースも考えられます。
たとえば、育成環境が整備されている企業であれば、経験を重ねていけばスキルアップのチャンスも多くあります。しかし、育成環境が整っていない企業の場合は、業務を体系的に学ぶことが難しく、スキルアップもしにくいため、退職を考える人が増えてしまいます。

経理業務は専門性が高く、他部署とのジョブローテーションが難しく、育成環境が整っていない場合離職につながる可能性もあります。

2-3.コア業務や経営管理業務の割合が少ない

コア業務や経営管理業務の割合が少ないことも、離職する人が増える原因になりえます。
コア業務とは、企業の売上や利益、高い付加価値などを作り出すための業務をいいます。経理部のコア業務は、決算業務や業績管理、予算管理などです。

経理業務は担当範囲を明確化しやすいため、ミスが許されないルーティン業務が多くなります。企業によっては、データ入力や伝票処理などのルーティン業務がメインになる経理部もあります。自分の担当している業務に慣れてくると単調な作業や、ルーティンな業務を続けるだけでは満足できず、資格取得やスキルアップなどの目標を持つ人も少なくありません。

そのため、やりがいやスキルアップを求めて退職を希望するケースもあります。離職率を下げるためには、効率化できるルーティン業務は効率化を図ったり、外部のアウトソーシングサービスなどに委託するなど従業員がコア業務や経営管理業務も担当できるよう、環境を整えることも重要です。

3.経理の離職率が低い企業の特徴

経理の離職率が低い企業は以下のような特徴があります。

  • 業務の棚卸し・業務効率化がされている
  • 業務マニュアルや育成環境が整っている
  • 従業員がコア業務に集中できている

3-1.業務の棚卸し・業務効率化がされている

経理業務の棚卸しをして業務全体を見直し、効率化されている企業は経理の離職率も下がります。多くの経理業務は、デジタル化が可能です。手作業や書類ベースで行う業務は手間も時間もかかり、人的ミスのリスクも高まります。

デジタル化することで業務を迅速にこなせるだけではなく、無駄な工程を省けます。経理業務に会計システムを導入したりクラウド化したりすることで、経理担当者同士で行う共同作業や業務の分担がスムーズになります。

デジタル化は業務のブラックボックス化を防ぎ、経理担当者の急な退職による業務遅延も回避できるでしょう。

経理業務のデジタル化については、以下の記事を参考してみてください。

3-2.業務マニュアルや育成環境が整っている

経理業務をマニュアル化している企業は、経理の離職率が低い傾向にあります。
マニュアルがあれば、業務の手順が明確になるため、引き継ぎもスムーズになり、新たな担当者も業務にすぐに取りかかれます。また、トラブルが起きた場合の対処法もクリアになるため、経理部の誰が業務を行っても問題ありません。

さらに、従業員の育成環境を整えればさまざまな業務経験ができ、従業員が自分のスキルを高めていけます。研修プログラムを整備したり勉強会を定期的に実施したりして、従業員の意欲を高めましょう。また、業務の成果を正しく評価される制度を整えることも重要です。

3-3.従業員がコア業務に集中できている

従業員がコア業務に集中できるようにしましょう。
コア業務に集中するためには、経理のノンコア業務を効率化させる必要があります。マニュアル作成や労働環境の整備だけではなく、経理部門の人材を増やす、デジタル化して手作業によるノンコア業務を減らすなど、担当者のノンコア業務をいかに減らすかを考えてください。

従業員がコア業務に集中できれば、意欲向上だけではなく、従業員がさまざまな業務を経験できてスキルアップにもつながります。

4.経理部門の業務環境改善や離職への備えは、アウトソーシングサービスの活用もおすすめ

経理部門の業務環境改善や離職への備えに、アウトソーシングサービスを活用してもよいでしょう。

人手不足で従業員一人ひとりの業務を減らすことが難しい場合は、経理のノンコア業務やリソース不足部分をアウトソーシングするのもおすすめです。経理業務のプロに委託すれば従業員がコア業務に集中でき、従業員の人材育成の時間も増やせます。

業務の一部分またはすべてを委託することもできるため、依頼したい業務を任せられます。委託する業者や依頼する業務の内容によって料金は異なりますが、アウトソーシングした方が長期的に見てコストを抑えて効率的な場合もあるため、検討してみるのもよいでしょう。

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経理部門の離職率についてまとめ

経理部門は専門性が高く、責任ある業務が多いわりに成果が見えにくいため、離職率が高くなる傾向があります。また、繁忙期の業務量の多さやコア業務に集中できない、スキルアップできる環境ではないなどの理由で退職を考える従業員も少なくありません。

業務の効率化を図り、マニュアルや研修制度などを整え、従業員がコア業務に集中できるよう環境整備を行いましょう。自社内だけで経理業務の改善を図るのが難しい場合は、経理のアウトソーシングを利用する方法もおすすめです。

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