一人経理で発生しがちな不正・ミスを防ぐには?一人経理のメリット・デメリットについても解説

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経理部は、企業が事業活動をするうえで重要な役割を担う部署です。売上情報の集計や請求書・領収書発行など日々の業務だけでなく、会社の経営に関わる月次業務や年次業務なども担っており、会社全体の収支の流れを管理しています。
その一方で、数々の業務を担当するにも関わらず、社員一人が経理全般の業務を担当する企業が多くあります。背景には、経理や人事などの管理部門は会社の利益に直結しない部門であり、人員の補充が後手に回ってしまうことが挙げられます。

本記事では、一人経理体制において経理担当者が抱える負担や一人経理のメリット・デメリット、不正やミスなど一人経理ならではのリスクを防ぐ方法について詳しく解説します。

1.一人経理によって経理担当者にのしかかる負担とは?

一人経理の担当者が抱える負担には様々なものがあります。業務分担ができないため、単純に業務量が多くなるほか、精神的な負担も大きいでしょう。

1-1.業務範囲が広くなりすぎる

経理で行う業務には主に次のようなものがあります。

【日次業務】
売上・費用計上、売掛金・買掛金・未払金の管理と消込、銀行振込、経費精算・小口現金精算、請求書・領収書発行、伝票の起票・整理など

【月次業務】
月次決算、給与計算・振込、棚卸し、残高確認、減価償却費の管理など

【年次業務】
年次決算処理、固定資産税納付、年末調整など

さらに一人経理の場合、経理の仕事だけではなく人事や労務、総務などの仕事も兼任しているケースも少なくありません。中小企業や小規模な事業所では、経理担当者でも総務や人事関連の仕事を多少任せても問題ないと判断され、多岐にわたる業務を一人で行っている場合があります。

1-2.自分の代わりがいない

経理の仕事は日々の業務だけではなく、月次業務や、年間のスケジュールを立てて取り組む必要がある年次業務があり、一年を通して業務量が多く、専門的な知識も必要です。また、それぞれの業務には当然期日があります。例えば請求書の発行・送付は月末まで、支払いは取引先との取り決めの期日まで、給与振込は毎月25日、といった具合にタイトなスケジュールで常に期日を気にして取り組む必要があります。
そのため、体調を崩しても経理が一人しかいないというプレッシャーを感じ、担当者が休みにくいという声も聞きます。

1-3.相談する相手がいない

経理業務に関する疑問や質問があっても、一人経理の場合はなかなか相談できる相手がいなく一人で抱え込んでしまう場合があります。複数の社員が在籍する部門であれば先輩や同僚に相談ができますが、一人経理の場合は財務や会計など会社の機密情報を一人で扱うため、気軽に外部の人に相談ができません。社内に頼れる人がいないと孤独を感じやすく、一人で業務をこなすストレスを抱えながらも残業せざるを得ない状況になることも多いでしょう。

2.一人経理による担当者・会社のメリット

一人経理体制が与える、会社や担当者にとってのメリットを紹介します。

2-1.幅広い分野の経験・スキルが得られる

一人経理の場合、必然的に経理業務全般を担当することになるので、幅広い経理スキルを身につけられるでしょう。人事や労務、総務などの仕事も行っている場合は、それらの業務に関する知識やスキルも得られるため、管理部門全体の業務のスキルアップにつながります。
また、経理業務は社内の機密事項を扱う仕事でもあり、経営トップや幹部と共に会議や仕事をすることも少なくありません。会社の上層部や外部の担当者と接することで様々な経験ができ知識も豊かになるでしょう。

2-2.担当者の裁量だけで仕事を進めやすい

一人経理の場合、一緒に業務を行う上司や同僚、部下などがいないため、自分一人の裁量で仕事を進められます。自分なりのやりやすい順番でルーティンな仕事の予定を立てたり、休みを取りたい日に向けて仕事のスケジュールを調整することができます。締切をしっかりと守って業務を行えば、上司への報告は少なくて済むので、自分なりの仕事のやり方を確立でき、やりがいを感じる人もいるでしょう。

3.一人経理の担当者・会社のデメリット

次に一人で経理を行う場合のデメリットを見ていきましょう。

3-1.不正・横領のリスクが高まる

一人経理では担当者一人がすべての経理業務を行うので、万が一担当者が不正や横領をした場合、どうしても気づきにくい環境となりがちです。
日々の経理業務を経営者や幹部が常に確認するわけではありません。不正や横領が起きた場合、資金を着服されるだけではなく会社に対する社会的な信用も落ちてしまうため、影響度は大きいです。多額の会社のお金を横領されたことに気づかなかった、会社のお金を持ち逃げされた、などのリスクには常に備えておきましょう。

3-2.ミスが起きても気づきにくい

複数の担当者がいる場合は計算ミスを防ぐためダブルチェックを行うことができますが、一人経理の場合は一人が全業務を担当するため、ミスが起きても気づきにくいデメリットがあります。特に支払いや請求関連でのミスは取引先にも大きな影響を与え、会社の信用を損ねることにもなりかねません。
ミスを防ぐために経営者や税理士が確認することはもちろんありますが、頻度が低ければミスを発見したときには数か月が経ってしまっているということも起こりやすいでしょう。一人経理でのミスを防ぐためのチェックリスト作成、またはチェックできる経理以外の担当者を作るなどの対応が必要です。

3-3.業務が回らなくなってしまう可能性がある

経理の担当者が一人しかいないと、その担当者が病気になったり怪我をしたりして長期で仕事を休まなければいけなくなった場合に、業務が回らなくなってしまいます。前もって経理担当者が不在になる時期や期間がわかっていれば対処できますが、突然の場合は社内の財務関連すべての業務が滞る可能性もあります。

また、経理担当者が退職するときは引き継ぎにも時間がかかります。ある程度の専門知識を持った人であれば、業務のマニュアルがあれば引き継ぎも簡単ですが、一人経理の場合は、担当者が抱える通常の業務量が多く、通常業務と並行してマニュアルを作成することは難しいかもしれません。そのため、引き継ぎが終わるまでに長い時間がかかることもあります。。退職が決まったら早めに申し出てもらう、どうしても経理担当者の代わりが見つからない場合は経理アウトソーシングサービスを利用する、などの対策を取るとよいでしょう。

4.一人経理による負担や不正・ミスを防ぐ方法

一人経理によるデメリットを減らし効率よく業務を進めていくためのポイントをお伝えします。一人経理が抱える負担や起こりやすいリスクを把握して対処しましょう。

4-1.経理業務を見える化する

一人経理による不正やミスを防ぐため、経理業務の見える化を図りましょう。属人化が進むと、不正やミスを発見するのが遅れてしまいます。また、経理担当者が急に仕事を休まなければいけなくなったり退職することになったりした場合には、社内の経理業務が回らなくなるリスクもあります。
経理業務の見える化を進めるには、ツール・システムの導入が効果的です。ツールを使うことで業務内容の共有や見える化がしやすくなり、業務効率化やミス防止に繋げられます。経理業務をデジタルに管理すれば、ログイン情報や履歴で担当者がどのような流れで何の業務を行っているか分かるため、不正を起こしにくくなります。

4-2.時間内に終えられるよう業務効率を高める

一人経理の担当者が、業務を時間内に終えられるよう効率化を図りましょう。経理業務は専門性が高く業務領域が広いため、一人で対応していると残業時間もふくらんでしまうケースがあります。担当者の負担を減らすには、効率よく業務を進められるよう周囲がサポートする必要があります。

業務の効率化には、経理業務のデジタル化やSaaSの活用が有効です。例えば、経費精算や請求書発行、会計入力の自動仕訳などは、クラウド会計システムを使えば作業効率を大幅に上げられます。経理担当者にヒアリングをしてどの業務に時間がかかっているのか、効率化したいのかなどを確認し、適したシステムを導入するとよいでしょう。

4-3.相談できる相手をつくる

一人経理の担当者が、いつでも相談できる相手を作ることもおすすめです。一人で経理業務をこなしていると、なかなか気軽に相談できる相手がいなくストレスを抱えてしまいます。経理以外の社員や同僚との面談を定期的に設けると、経理担当者の精神的な負担を減らせるでしょう。
また、経理業務に関する疑問を相談できるよう、普段から税理士とコミュニケーションが取れる環境を作ることも大切です。経理担当者の負担を減らすため、部分的に経理業務をアウトソーシングすることを検討してもよいでしょう。

5.一人経理による負担・不正のリスクを減らすならバーチャル経理アシスタントにご相談ください

一人経理による担当者の負担や不正・横領のリスクを減らす方法の1つとして経理のアウトソーシングも検討してみて下さい。

メリービズ『バーチャル経理アシスタント』では、請求書/納品書/領収書などの帳票・伝票類の起票、会計ソフトへの入力、仕訳までワンストップで対応します。決算業務などの一時的な経理業務増加の負担を軽減するだけではなく、一人経理の担当者の日常業務のサポートも行います。日常の経理業務から月次業務まで、幅広い経理業務の中から必要な分だけカスタマイズしてご利用可能です。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

一人経理による不正などのリスクについてまとめ

一人経理には、幅広い経理のスキルを磨けるなどのメリットがあります。一方で、業務負担が大きいため残業が常態化しやすく、ミスや不正が起こりやすいというデメリットもあります。横領やミスがあっても発見されるまでに時間がかかって、より大きな問題になってしまうなど高いリスクも考えられます。

デメリットを解消して一人経理の体制を維持するには、経理業務を見える化し、担当者がいつでも相談できる環境を整えましょう。クラウド会計ツールを利用すれば業務を効率的に行えるようになり、経理担当者の負担も減らせます。また、経理業務の一部をアウトソーシングして担当者の業務量を減らすことも方法の一つです。アウトソーシングをご検討の方はぜひお気軽にお問い合わせください。

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