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一人経理そのままで大丈夫!?業務負担度チェックリスト 〜一人経理のための業務カイゼン虎の巻〜 <診断編>

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1.一人経理とは

一人経理とは「経理」や「経理を含むバックオフィス全般の業務」を、方針決定からひとつひとつの業務までを一人で担当している人のことです。一人経理には重い責任・広い業務領域がつきもので、繁忙期にはひたすら業務に追われ「やってもやっても仕事が終わらない」状況に陥ったり、代わりがいないために休めない状態が続いたり、課題・悩みがあっても相談相手がいなかったりと、ハードな環境にいる人も少なくありません。

人材豊富な大企業や経理体制が手厚い会社では、経理業務は主計担当、財務担当など、業務ごとに人が割り振られていることも多いですが、一人経理はそれらの業務を一人でこなさないといけません。
一人経理がカバーすべき業務範囲として、主に以下があげられます。

  • 売上計上・請求書発行・売掛金管理(消込)
  • 費用計上・銀行振込・未払金・買掛金管理(消込)
  • 経費精算・小口現金精算
  • 固定資産・減価償却管理
  • 月次試算表・決算対応
  • 資金繰り・キャッシュフロー管理
  • 伝票の起票・整理
  • 予算管理
  • 納税・税務申告
  • 給与計算・支給・社会保険の納付・年末調整

などなど。
これらに加えて、労務や総務などを兼任することもあり、その場合は更に、求められるスキルや業務量が多くなってしまいます。さて、この記事を読んでいるあなた(もしくは、あなたの部下の経理担当)が一人経理だとして、一人経理としていまどれくらい大変なのか?を診断してみましょう。

2.一人経理の「業務負担度チェックリスト」

業務負担度チェックリスト

それではまず、「業務負担度チェックリスト」で一人経理のあなたの状態を把握してみましょう。全10問ありますので、あなたの主観でかまいません、いくつ当てはまるかチェックしてみてください。

いかがでしたか?この記事の後半で、簡単な診断結果をご用意していますので、併せて確認してみてくださいね。

3.一人経理の毎日の過ごし方

それではすこしずつ、チェックリストの内容にも触れながら、一人経理の実像に迫っていきましょう!まず、一人経理が毎日どのように業務をおこなっているのかを解説します。

3-1.何かと頼られがち

一人経理の人しか、経費精算をはじめとした経理処理ルールについて知らないため、社内から何かと質問されることが多いでしょう。質問に応えていたらいつの間にか夜になっていた…ということも少なくないはず。また、顧客からの入金を確認したいとき・急ぎで請求書を発行したいとき・領収書を発行しなければいけないときなど、何かと一人経理の人にお呼びがかかり、常に頼られる構図となります。

3-2.常に手を動かしている

仕訳入力や請求書発行・入金確認、請求書受取・支払、経費精算などのルーティン業務だけで1ヶ月の多くの時間が埋まります。それに加えて自治体や金融機関向けの書類作成や提出、社員の入退社への経理・労務的な対応、経営陣からの様々なオーダーへの対応など、様々な業務を一手に引き受けています。そのため、常に手を動かしている状態です。

3-3.スケジュールがタイトな仕事ばかり

経理業務は、スケジュールの〆切がタイトな仕事が多いことも特徴です。たとえば、請求書の発行は月初何日までと納期の短いスケジュールを組んでいたり、月次決算を締める期日も投資家や金融機関と厳密に決めていたり、支払いや給与振込は締切期限に間に合わせなければならない等があります。その一方で、突発的に自治体や税務署、金融機関、取引先からの緊急度の高い対応に追われることもあるため、スケジュールを組む難易度が非常に高くなることが多いです。

3-4.繁忙期が大変

経理の仕事は月単位、年単位のいずれを見ても、繁忙期の重い負担が特徴です。月単位では、経理の仕事はとにかく月末月初に集中します。月末は支払業務、入金確認・仕訳に追われますし、月初は売上の確認や請求書発行、月次決算に向けたスケジュールの消化、取締役会や外部向けの報告資料の作成などがあります。年単位では、事業上の繁忙期に業務過多になるのはもちろん、年次決算で期初2-3ヶ月はかなり業務量が増えることになります。

4.一人経理を悩ます問題7選

一人経理には、業務上の悩みがつきません。ここからは一人経理を悩ませる、よくありがちな問題を7つ紹介します。

4-1.業務範囲が広すぎる

先にも述べたように、一人経理の業務内容は非常に多岐に渡ります。経理業務だけではなく、人事労務領域として給与計算も担当することがありますし、営業関連領域として売上確認や請求書発行も担当することがあります。また、オフィスの整備や日用品の発注など、総務領域にある業務も一人経理が担当していることがあります。

4-2.相談相手がいないので孤独

一人経理は周りに相談相手がいない、もしくはいても頻繁に相談しづらいことも多く、孤独な状況に陥りがちです。営業やマーケティング、カスタマーサポートなど基本的にチームで対応する組織は、悩みを抱えていても同僚や上司に相談しやすい環境があることも多いですが、一人経理は文字どおりそういうわけにはいきません。また、会計・経理は社内でも機密的な情報であることも多く、気軽にオープンな相談もできません。自分だけが担っている・知っている業務も多いため、同僚や上長が一人経理の悩みを認識するまでに時間がかかるでしょう。

4-3.ミスに気づきにくい

経理業務では重要な数字を扱っており、そもそもノーミスでの業務を自然と求められます。しかし、人間なら誰しもミスはつきもの。第三者がダブルチェックするプロセスを踏めればいいのですが、一人で業務を進めざるを得ない場合はミスをしても気づくことができずミスがミスのまま残ってしまうことになります。一人経理はミスの許されない業務に対して、多くのタスクを抱えながらも、各所にミスがないか常に気を張りながら進めなければなりません。

4-4.自分の代わりがいない

一人経理は文字通り経理業務を一人でこなしており、専門性も高くタイトなスケジュールをこなすなかで自分の代わりがいない状況になってしまいます。休みがとりづらく、有休なんてしばらくご無沙汰…という人も多いのではないでしょうか。一般的には、業務担当者の退職や急な休みなどに備え、業務が属人化しないように気を付けるものですが、一人経理の周辺はつい属人度が上がりがちです。

4-5.月次決算が期日までに締まらない

月次決算の安定化は、経営状況のタイムリーな把握やIRの観点からとても大事なテーマです。しかし、一人経理の会社で安定して期日までに締めるのはなかなか容易ではありません。社内から適切に情報を受け取るための業務プロセスの設計や、経理における判断基準づくり、その社内浸透などにハードルがあるからです。本来のスケジュールまでに情報が集まらない、決めるべき人が決めてくれない、イレギュラー対応が多くとにかく時間がかかる、手戻りする、などが起きて、結果として期日までに締まらないこともあるのではないでしょうか。

4-6.定型業務をこなすだけで精一杯

一人経理は、忙しくなると月次のルーティン業務をこなすだけで精一杯になり、企画業務や業務改善などにリソースを割けなくなることもあります。外部からはその状況に気づかれにくく、誰かが助け舟を出してくれることも少ないかもしれません。すると、やりたいこと・やるべきことはたくさんあるが、そうした課題を解決する時間がなく、むしろ気づく課題だけが増えていく…..というスパイラルに陥ってしまいます。

4-7.経理業務はそもそも目立たない

経理は他部署と比較して目立ちにくい、わかりやすく評価されにくいポジションと言えるかもしれません。営業であれば売上の数字や顧客からの評価、カスタマーサポートであれば顧客満足度や対応件数、広報であればメディアへの掲載数や表彰の獲得などによって、担当者の成果や貢献が見える化されます。経理は正確かつ迅速な業務、プロセスの改善などハイパフォーマンスな仕事をしていても、わかりやすい評価を受けにくく、「できてあたりまえ」という認識となってしまうことも少なくありません。

5.一人経理がおこなう6つの業務領域

では改めて、一人経理が担当する業務領域をおさらいしておきましょう。どの領域の業務が大変かな、どこか改善できるところはないかな、と思い出しながら、確認してみてくださいね。

5-1.売上計上・請求書発行・売掛金管理 (消込)

売上管理、契約書・納品の管理確認、請求書発行および仕訳計上など、会社の売上・売掛金に関連する業務です。一人経理では売上金額そのものを把握することはもちろん、計上タイミングや事業・部門別収支管理などの観点で、自社のビジネスモデルを深く理解し、より確からしい売上管理をする必要があります。

また、毎月請求書を発行するようなビジネスモデルの場合、売上の確認・把握から実際の請求書発行まではかなり期日もタイトで、事業部門・営業部門での論理と会計・経理部門での論理を両立する必要もあり、月初はいつも残業続き….という一人経理の方も多そうです。売掛金は、未回収や不明な売掛残高の発生などに注意しつつ、毎月の消込を徹底しましょう。入金があってこその売上ですよね。必要に応じて、関係部署への問い合わせや回収のための督促などが入ってくることもあります。

5-2.費用計上・銀行振込・未払金/買掛金管理 (消込)

請求書の受取や内容確認、費用計上や仕訳、購入申請や稟議書のチェック、発注、検収、振込データの作成・振込実行、債務管理等の業務などが該当します。内容は、ごく少額なものから経営に影響の大きな高額なものまで幅広く、金額や用途に合わせて承認フローを設定することもあります。

また、これらの業務はイレギュラーな支払が発生し、緊急的な対応が求められることも少なくありません。その度に通常業務に割く時間が削られることもあるでしょう。そのため、不測の事態に備えたり、業務の効率化を図ったりするために、できる限りのオンライン化や自動化を進めるべきと言えそうです。

5-3.経費精算・小口現金精算

領収書の回収、立替、申請状況のチェック、支払、仕訳などの業務のことです。小口現金管理をしている会社の場合は、日々の伝票の起票や金額の確認などの細かなタスクも発生します。経費精算においては精算規定が曖昧な場合もあるため、申請データと証憑の突き合わせの際に、申請者や上長との確認が必要になることもあるでしょう。

また、経費精算や小口現金精算については、運用ルールの確立と社員への周知・浸透が重要です。運用ルールが各メンバーに浸透していないと、経費精算システムを導入しても工数が減ることはなく、逆に説明やリマインドの時間などコストだけが発生する結果になります。

5-4.月次決算・試算表作成

試算表を確定させるためには、現預金の残高確認から仮勘定の整理、経過勘定の計上、減価償却費や引当金を計上する必要があります。売上については計上漏れの有無の確認が必要です。また、売上と売上原価の確認は、素早い対応が求められるでしょう。

また、月次決算の正確な積み重ねにより、年次決算を締める際の負担を軽減させることができます。期末に貸借対照表の資産・負債残高が一致しない場合、過去の処理データから不一致の原因を調べる必要があるため、月次決算が正確であればあるほど見つけやすくなります。

その他、試算表作成において、税務上の論点の有無などを相談するために税理士との連携も必要です。税理士の存在は経理担当者にとって、唯一の相談役となることも多いでしょう。

5-5.資金繰り・キャッシュフロー管理

資金繰りやキャッシュフロー管理も、一人経理の業務範囲です。たとえば、月末に会社の預金残高はいくらになるのか、それは計画に対してどうなのか、今後の見通しはどうか、追加で資金調達をする必要があるのか、などを確認します。資金不足になりそうなときは、まずはコストを抑制し、債権回収、資産の現金化などを検討します。

5-6.労務・総務・法務

一人経理の業務は非常に多岐にわたります。労務や総務、法務領域まで関わる場合もあります。また、給与計算や支払、社会保険、年末調整などの労務や、備品の棚卸、資産管理などの総務もよく一人経理の仕事になります。また、法務については、契約書のレビューにおいて、税務や会計、資金繰りの観点が必要になり結果として担当していることもよくあります。

このように一人経理の仕事は広範囲でかつ、責任のある業務が多いのです。

6.業務負担度チェックリストの結果

さて、一人経理の実像をたくさん確認したところで、「一人経理の業務負担度チェックリスト」の結果を見てみましょう!

0点 一人経理の人にありがちな多忙・繁忙状態ではなさそうです!
1-3点 一人経理の大変さを味わっているようです。いまのままでも、すぐ業務に支障をきたすおそれは少ないかもしれません。
4-6点 一人経理ならではの苦労に多く出会っているようです。業務量の増加・事業状況の変化などがあると特に大変になりそうです。
7-10点 「ザ・一人経理」とでも言うべき、起こりがちな課題がほぼ起こっている状況です。既に業務量・責任ともかなり負荷が高い状況で、業務プロセス見直しやリソース拡大など、手を講じる必要がありそうです。

7.まとめ

改めて、一人経理とは、経理業務の設計や判断、実行までをほぼ一人で担っている人のことを指します。業務内容は非常に多岐にわたり、責任のある仕事も多いため悩みを抱えている人も多くいます。そのため、会社全体の業務の正確性・生産性はもちろん、一人経理個人の負担を軽減するためにも、経理業務を外部に委託するなどの方法もぜひ検討してみてください。外部への委託先の一つとして、メリービズが運営している『バーチャル経理アシスタント』では、一人経理をサポートしているケースが多く生まれています。(詳しい内容をお知りになりたい方は、ぜひこちらをご覧ください。)

一人経理の課題解決につながる具体的な方法については、対策編で解説しますのでぜひともご覧ください。

参考事例|「一人経理」が快適に働ける労働環境を実現した、NKC ASIAの組織改革

一人経理の課題解決、他の企業ではどのように解決しているのでしょうか。参考事例として、『バーチャル経理アシスタント』を導入したNKC ASIA社について紹介します。
同社はITエンジニアのマッチングサービスを提供しており、従来は経理担当者が1人で業務を回していました。しかし、事業の急成長とともに業務量が増え、残業が恒常化。アルバイト採用などの導入を検討したものの、人員の欠勤や退職の際に作業に遅れが生じ、柔軟な対応ができなくなるリスクを考え、断念しました。しかし『バーチャル経理アシスタント』の複数人でのチーム制・業務をカバーし合う体制に着目いただき、業務遂行の安定性の観点から導入を決意されました。
導入後、同社の経理部門の環境は大きく改善され、繁忙期でも夜遅くや休日シフトにて稼働することはなくなったとのことです。
ご興味をもっていただきましたら、ぜひこちらよりご覧ください。

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