中小企業の経理業務を効率化するには?大企業との違いや効率化する方法を紹介

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経理担当者の負担は企業規模や業種によって異なり、特に中小企業での経理部門は人数が少なく業務の幅も広い傾向があります。そんな中小企業の経理業務を効率化し、負担を減らすための代表例として、業務の見える化やペーパーレス化、経理アウトソーシング、クラウド会計ツールの導入などが挙げられます。
中小企業の経理業務は大企業と何が違うのでしょうか。効率化を一挙に進める方法とともに、解説します。

1.中小企業と大企業の経理業務の違い

1-1.経理人員の数

中小企業と大企業では、経理業務にあたる人員数が違います。

中小企業では経理に割く人員が少なく、20名程度の社員に対して経理が1名といった場合も珍しくありません。また、経理業務だけに留まらず、担当者が労務や総務を担っている場合もあります。そのような状況では、経理を担う従業員の急な病欠などで業務が滞ってしまうこともしばしば。潜在的にリスクを抱えているといえるでしょう。

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大企業では従業員数の多さもさることながら、扱う取引・契約やステークホルダー向けの資料制作など、対応すべき業務量が多く、経理人員の必要数も多いです。多くは分業制を敷いており、業務が滞りなく進むように一定数の人員が確保されています。

1-2.経理担当者の対象業務

中小企業と大企業では経理担当者の業務範囲が異なります。企業規模の特性上、経理業務の領域は大企業の方が広いことが多いです。一方、担当者の業務に目を向ければ、中小企業の方が幅広い業務を行っていることが多いでしょう。

中小企業では一つひとつの取引量が少ない分、幅広く経理業務を担当することが多いと言えます。また、経理だけでなく、バックオフィス領域の業務を経理担当者が担当することもあるでしょう。大企業で総務部や人事部が行うような業務も、経理業務と並行して進めるなど、対象範囲が広くなりがちです。

大企業は分業の体制が整っていることが多く、一人ひとりの業務範囲は中小企業に比べて狭いといえるでしょう。一方で、対象範囲の業務ボリュームが甚大であったり、金融機関や株主などのステークホルダーとの折衝などが高頻度で発生したりします。ときに中小企業経理より専門的な知見や、交渉やプロジェクトを軟着陸させるコミュニケーション力が必要となります。

1-3.ITシステム・ツールの導入率

中小企業と大企業では、中小企業の方がITシステム・ツールの導入が遅れている傾向にあります。

中小企業では、領収書の管理や請求書の発行等がアナログ(紙・ハンコ・手書き等)で行われていることが多く、そのオペレーション自体も非効率な場合が散見されます。ITを使わなくても「どうにか業務を回せる」状態に経理現場の方や経営者の方が慣れてしまっていることが多いでしょう。

大企業では従業員数が多い分、領収書や請求書の管理・発行を始めとした経理業務のボリュームは多いです。だからこそ、組織内で負担軽減に対する議論や効率化の施策への工夫がよく行われ、ITシステムの利活用を中心とした利活用が進んでいる企業が多いです。

現状の負担を軽くするためにツールの導入を検討している中小企業も増えていますが、システム・ツールに詳しい人材や、導入する時間を確保できないなどの理由で導入が遠のいていることもよく見受けられます。

2.中小企業の経理を効率化する方法

中小企業の経理業務を効率化するためには、現在の業務内容を把握し、改善箇所を特定したり、他部署との分業を検討したり、ツールやシステムを導入したりすることが大切です。ここでは中小企業でも取り組みやすい、経理業務を効率化する方法を紹介します。

2-1.経理業務の棚卸し・業務フローの見える化

既に実施されている企業も多いかもしれませんが、経理業務の棚卸しや業務フローの見える化は中小企業の経理を効率化するための基本的な要素です。

業務を見える化するためにはまず業務をすべて列挙し、それぞれの業務をどのようなフロー(手順)で行っているか書き出していきましょう。その際、情報のインとアウト(入力内容と出力内容)を意識することが重要です。多くの経理業務では、情報にアクセスして加工するまでに不要な手間(紙伝票のPCへの手打ち処理等)がかかっていることが頻発し、業務工数を圧迫しています。

経理業務の見える化を進めていくと、本来不要な業務を以前からの慣習で行っているケースがあります。そういった場合は、上長や関係者と議論し、業務をなくすことも一つの有効打となります。

また、システムを使う場面では、システム上での簡単な操作内容や連携する部署、担当者なども明確にすることが大切です。業務にかかる時間などもまとめて表にしてみると、時間がかかっている業務や非効率的な業務を特定しやすくなるでしょう。

2-2.他部署と経理業務の分担を図る

経理業務を効率化させるには、他部署と分担できる経理業務を見つけ、経理担当者が専門性を要する業務に集中できる環境を整えることも大切です。

また、他部署との分担では、営業部門との業務がよく事例として挙げられます。交通費や交際費などの経費申請・承認や請求書・納品書発行などの業務をすべて経理部門が行っている場合がありますが、なかには現場で行うべき業務があることも。部門長と相談し、本来経理が行うべき業務(コア業務)に集中できるよう交渉してみましょう。

全社のコストを管理・最適化するために、経理業務を効率化することは極めて重要です。行き過ぎた業務分担は不要ですが、前段で見える化した経理業務の一覧を眺めながら、全社の最適化のために隣接部門と話し合うことをおすすめします。

2-3.ペーパーレス化を進める

ペーパーレス化やキャッシュレス化を進めることも、経理の効率化に有効です。

たとえば請求書や納品書、領収書などはPDF化してPCにアップロードしてしまえば、保管のためにファイリングする作業を省略できます。フォルダ分けして保管することで検索もしやすくなるため、アナログな方法で管理していたことでかかっていた工数を大幅に削減も可能です。また、現金に代わり、交通系ICカードや法人向けクレジットカードを利用するなどキャッシュレス化をおこなうことで、書類の紛失リスクにも対応できます。

また、押印が必要な承認作業などは、電子契約やワークフローシステムを導入することですべてのフローをデジタル化できます。今までのやり方に慣れていた従業員が戸惑う場合もあるため、社内への周知工数はかかりますが、補ってあまりある効果が見込めます。活用方法や使い方の説明などを丁寧に行いながら、デジタル化を進めていきましょう。

2-4.中小企業会計要領の検討など、会計ルールを見直す

「中小企業会計要領」は、社内ルールが曖昧でお困りの経理担当者に有用です。

中小企業会計要領とは、中小企業向けの会計ルールです。中小企業が適切に財務情報を活用して経営力・資金調達力を強化できるよう実態につくられたルールで、簡潔な会計処理で済むように定められています。

導入はもちろん義務ではないものの、取り入れることで杜撰な会計をしていないという信用につながることがあります。特に、金融機関や取引先、株主、税務署などの公的機関などからの評価が良くなることを期待し、取り入れられる企業もいるでしょう。経理業務の効率化のみならず、こういったメリットも期待できますので、ぜひ検討してみてください。

2-5.経理アウトソーシングを利用する

経理業務の効率化のために、経理アウトソーシングを利用するのもおすすめです。

経理アウトソーシングとは、委託企業・法人に経理業務の一部または全てを代行してもらうサービスです。繁忙期などにスポットで活用することも可能で、人件費を固定費ではなく変動費として扱える点も特徴です。また、経理のアウトソーシングでは法改正などの最新情報を常に把握していたり、依頼する業務範囲を柔軟に決められる場合も多いため、情報収集や社員教育にかかるコストの削減も期待できます。

結果として社内の経理担当者はコア業務に集中できるようになるため、生産性の向上も期待できるでしょう。

経理アウトソーシングについての無料相談はこちらをご覧ください。

2-6.クラウド会計・業務システムを導入する

クラウド会計・業務システムの導入も中小企業の経理効率化に役立ちます。

クラウド会計とは、インターネット上のサーバーにデータを保存するクラウドを使った会計システムです。従来はPCにインストールするタイプが一般的でしたが、近年クラウド型のシステムが急速に普及し始め、費用も以前より低下傾向にあります。

クラウド型が増えた背景には、インターネットが繋がる環境であればどこでも経理業務が行える便利さがあります。銀行データの自動化や従業員・経営者とのリアルタイム共有ができるため、業務効率の大幅な向上が見込めます。一人しか経理担当者がいない中小企業ではクラウドの導入を敬遠しがちかもしれませんが、税理士との共有にも使えるため、様々な場面で便利だと感じることが増えるでしょう。ソフトごとに使える機能に違いがあるため、比較してみてください。

3.経理アウトソーシングや会計ソフトを導入するメリット・デメリット

経理業務の効率化の手段として経理アウトソーシングや会計ソフトの導入を紹介しましたが、それぞれのメリットとデメリットについて見ていきましょう。

3-1.経理アウトソーシングを活用するメリット・デメリット

3-1-1.メリット

経理アウトソーシングを活用するメリットとして、人手不足の解消、従業員の採用や教育、引き継ぎの観点で経理効率化が図れると述べましたが、他にも経理業務の属人化を防いだり、法改正の最新情報を得られる点も大きなメリットです。

経理業務には細かい数値をミス無く扱うことが求められますが、中小企業の場合は特に担当者の人数が限られるので負担が大きくなりがちです。さらに、法改正などにも都度対応しなければならず、経理担当者が日常の業務に加えて最新情報を収集する負担は大きいものです。

アウトソーシングを活用することで、業務負荷を解消できることはもちろんのこと、業務の効率化ノウハウや最新の法改正の知識を得ることも可能になります。業務改善の手法を調べたり、国税庁のホームページ、税務署からの通知を元に情報収集する手間を省け、自社に最適な対処法を検討、実施することが可能になるでしょう。

3-1-2.デメリット

経理代行では外部の企業に業務を委託するため、依頼する仕事をわかりやすいよう整理しておくことが推奨されます。特にアウトソーシング企業に初めて依頼をする場合、長年手つかずだった部分を整理する作業が発生し、時間がかかることもしばしば。その手間が活用メリットを上回れば、効果を感じられないこともあるでしょう。もちろん、アウトソーシング先によっては業務整理から伴走できる企業もあるため、選定時に要件を追加することも一つの選択肢です。

また、選択したアウトソーシング会社によっては、柔軟な対応に欠ける場合や機密情報管理においてリスクもないとは言い切れません。アウトソーシング会社を活用する際は、評判(口コミ)や導入事例のチェックや、対象企業へのヒアリングを十分に行い、信頼できる会社か見極めることが大切です。

3-2クラウド会計・業務システムを導入するメリット・デメリット

3-2-1.メリット

クラウド会計・業務システムを導入するメリットは、オンラインバンクとのデータ連携や自動仕訳などのサポートがある点です。インターネット環境があればどこからでも利用ができるため、リモートワークでも問題ありません。
さらにクラウド型であればシステムが自動的にアップデートされるため、税制等の制度改正の際も即座に対応が可能です。改正されたばかりの情報にも対応できるため、取引先や銀行からの信用にもつながります。
またクラウド型の特性として、バックアップの手間も必要ないうえ、データから即座にレポートを作成して経営状態を確認することも可能です。経理担当だけでなく経営判断を行う経営者にとっても手放せないものとなるでしょう。

3-2-2.デメリット

メリットの多いクラウド会計・業務ソフトですが、強いてデメリットを挙げるとすれば業務フローが変わることで戸惑う社員が出る点です。もちろんランニングコストを懸念する企業もありますが、買い切り型とクラウド型を比べても、トータル費用ではクラウド型が安く済むケースが多いでしょう。また、会計ソフトの中には導入費用が無料だったり月数万円程度のコストで使えたりするサービスもあります。
メリットの多さを考えると、デメリットをどのようになくすか、という点に焦点を上げることを推奨します。

メリービズでは、経理業務のDXに必要な業務プロセスの見える化から、システムの選定、運用フローの構築にいたるまでの全般的な支援をおこなっています。自社の経理効率化にお困りの方はぜひお問い合わせください。
https://dx.merrybiz.jp/

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大企業と比較して中小企業の経理は業務の幅が広く、一人の経理担当者に対する負担が大きくなる傾向があります。経理担当者の負担を軽減してコア業務に集中できるようにする方法としては、業務の見える化・棚卸しをはじめ、他部署でもできる業務の分担、ペーパーレス化・キャッシュレス化による業務負担軽減などがあります。さらに経理アウトソーシングやクラウド会計・業務ソフトの利用で、一層の効率化が図れるでしょう。
メリービズであれば経理アウトソーシングもクラウド会計ソフト導入も取り扱っており、企業の困りごとに柔軟な対応が可能です。実際に導入いただいた企業様のお声も掲載しているため、ぜひご一読ください。
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