2021.04.13.

2021.04.13.

【イベントレポート】『日本の経理をもっと自由にカンファレンス 2021』第1部パネルディカッション

経理の働き方改革は、コア業務・ノンコア業務の切り分けから始まる――『日本の経理をもっと自由にカンファレンス 2021』

新型コロナウイルスが大流行した2020年。働き方の見直しが加速し、ペーパーレス化、脱ハンコ化、テレワークなど、経理を取り巻く環境が大きく変化しています。無駄を省き、本質的な仕事が求められるなか、いかに業務改革を進めていくべきなのでしょうか?

2021年2月10日、株式会社ROBOT PAYMENTやメリービズなど、経理業務をサポートするサービスを展開する6社が集い、「日本の経理をもっと自由にカンファレンス 2021」をオンライン開催しました。本記事では、カンファレンスの中から、「コア業務とノンコア業務の切り分け方から始める経理の働き方改革」をテーマとしたパネルディスカッションをレポートします。

登場したのは、経理改革の先駆的存在であるスマートニュース株式会社のHead of Corporate Administrationである黒岩篤氏と、メリービズ株式会社取締役・COO山室佑太郎の2名。山室が聞き手となり、スマートニュースがいかに経理業務の改革を進め、「最少人数で最大の価値を生む」バックオフィス組織を生み出したのかを探りました。

4年間で5倍成長したスマートニュースの組織

山室:はじめまして、メリービズの山室と申します。経理のアウトソーシングサービス『バーチャル経理アシスタント』を展開するメリービズ株式会社に所属しています。このサービスは簡単に説明すると、全国から厳選した900名のプロ経理スタッフが、お客様の専属として経理業務をオンラインで代行するサービスです。

黒岩:スマートニュースの黒岩です。世界中の人に良質な情報を届けるニュースアプリ『SmartNews』を展開する、スマートニュース株式会社に所属しています。2年前にシリーズEで総額100億円の資金調達を行い、成長株の「ユニコーン企業」に名を上げることができました。そこからグローバル展開を加速し、今ではアメリカでの事業も大きく成長し、18の国と地域から社員が集まっています。

私が入社した2016年8月、スマートニュースの社員数は100名程度でした。経理担当者は私一人しかおらず、ありとあらゆる経理業務を一人で担当していましたね。それから事業も組織も順調に成長し、現在の組織規模は2016年当時の約5倍、グループ会社をあわせると500名近くの従業員を抱える企業になりました。会社の成長に伴い経理チームの規模も拡大し、今ではマネージャーを含めて6人体制のチームとなっています。

山室:4年前、一人で経理を担当されていたころから現在の6名体制に至るまで、どのように経理体制を構築していったのかをお伺いしたいです。

黒岩:最初に考えたのが、請求書発行と入金確認の自動化です。これら月末月初の業務が自動化できないと、月初に行う月次決算に着手できません。自動化するため、さまざまなシステムを導入し、最終的には請求書発行や入金確認業務自体を営業管理に移管したんです。

経理のやるべき業務、経理がやらなくても良い業務を切り分け、他部署を巻き込みながら業務整理を進めていきました。

山室:なるほど。経理がやるべき業務とそうではない業務を切り分け、他部署ともうまく連携できているからこそ、組織の人数が5倍になっても6名のチームで業務を回せているのですね。先ほどグローバルに事業を展開されているというお話がありましたが、経理としてはどのような調整が必要でしたか?

黒岩:海外にオフィスができると、コーポレート部門にはさまざまな影響が生じます。最初は日本で海外オフィスの経理業務も担当していたのですが、タイムゾーンも違いますし、細かい事情は分からない。現地で経理業務を完結させる体制を整えなくてはならないと考え、現地法人がそれぞれ担当者を採用し、経理組織の構築を進めています。

SaaSを組み合わせ、急成長に耐えうる経理体制を構築

山室:つづいて、経理部門として目指している理想像をお伺いできればと思っています。組織が大きくなるとやりくりが大変だと思うのですが、どういったコーポレート部門の姿を理想としているのでしょうか?

黒岩:最小の人数で、効率よく事業を支えることが理想ですね。スマートニュースに入社するとき、IT企業らしい「テクノロジーを使い倒した経理」を実現しているイメージがありました。しかし実際は、極めてローテクなマニュアルで頑張っている状態だった(笑)。

というのも、エンジニアのリソースは優先順位の高いプロダクト開発に回っています。だから「バックオフィス系はとりあえず回っていればよい」といった発想だったんです。しかし、それでは事業や組織の拡大に耐えきれないのは明らか。バックオフィス部門のメンバーが主体となり、SaaSなどを活用することで業務を効率化できないか考えました。

請求書発行・入金消込・支払い管理・預金情報の自動取り込み・経費精算。これらをシステムで取り込んで自動化させていく取り組みを一生懸命やりましたね。

山室:システムの導入において、一番困ったことや試行錯誤した点を具体的にお伺いできますか?

黒岩:最も苦労し、試行錯誤したのはSaaSの組み合わせ方ですね。安価なSaaSを複数導入することで、コストを最小に抑えながらすべての業務を効率化しようと考えたんです。
この4~5年でコーポレート部門を対象としたSaaSが増えていますよね。それらをどう組み合わせれば理想的な状態を実現できるか考え、一つひとつ試しながら徐々に導入するサービスを増やしていきました。

山室:多様なSaaSを組み合わせて導入することで、業務量の増加に耐えうる業務フローを構築したと。

黒岩:人手を最小化する方針は当時から今まで変わってません。組織全体の人数と比例して、経理組織の人員が増える状況は回避しようと考えていたんです。

月末月初の人手不足は、業務分散とアウトソーシングで解消

山室:経理業務の効率化におけるポイントはどういった点にあったと思いますか?

黒岩:そもそも経理は月次のサイクルでぐるぐる回ります。経理は月末月初が繁忙期。多くの業務が月末月初にぎゅっと詰まっています。

そんな月末月初をスムーズに乗り越えられるだけの人員を確保しようとすると、もちろんコストは高くなりますし、月末月初以外の時期は人手が余ってしまうんですよね。そのあたりのバランスをどう考えるかが重要だったと思います。

山室:この点に関して、どういう考え方で、どういう取り組みをしたか具体的にお伺いしたいです。

黒岩:月末月初には、経費精算の締日・請求書の締日・請求書の支払い業務が集中しており、さらにそこから翌3営業日以内に次の請求を出すという流れでした。

最初に考えたのが、「経費精算って別日にずらせないの?」ということ。経費精算の締日を各月の10日にし、翌月の10日に支払うようにし、10日間ほどサイクルをずらしました

山室:大きな変革ですね。

黒岩:そうですね。社内に不満を言う人は居ましたが、サスティナブルな経理環境を整えるために変えなきゃダメなんだと説明し、人数、社員数が少ないうちにやってしまえと推進しました。

一方で、この変化を歓迎する声も聞かれました。ユーザーである社員側も月末は締日だらけ。経費精算だけではなく、勤怠の締日なども月末ですしね。経費精算のサイクルを変えることで、「負荷が分散した」と喜ぶ社員もいましたよ。

山室:月末月初に集中しがちな業務を分散することで、バランスを整えていったんですね。

黒岩:そうですね。しかし、経理業務のサイクルが月単位で回っていることに変わりないので、少し分散させただけでは理想的な状態はつくれない。山の高さが少し下がってなだらかになったとは思うんですが、やっぱり山はあるんですよ。

なので、さらに負荷を下げるために、繁忙期のタイミングだけリソースを調達できないか考えたんです。そう考えたきっかけは、あるアルバイトさんの一言。弊社の労務部門に社労士資格を持つアルバイトの方がいたんですが、「じつは私、月のほとんどの時間はスマートニュースで働いているのですが、月初だけ他社の業務を請け負っているんです」と。

その言葉を聞いて「うちに月末月初だけ来てくれる経理の人がいたら最高だな」と思い、そういった一時的なリソースの確保をいかにして実現するかをずっと考えていたのが、2年前の話。さまざまな手段を調べている中で出会ったのが、山室さんとメリービズの『バーチャル経理アシスタント』だったわけです。

山室:なるほど。『バーチャル経理アシスタント』を導入してくださった背景にはそういったストーリーがあったのですね。SaaSとアウトソーシングを組み合わせ、月末月初の負荷を減らしながら、メンバーがコア業務に集中できる環境を作り出していった。

社内メンバーが「コア業務」に集中できる環境を整える

山室:黒岩さんは、コア業務とノンコア業務の分け方をどのように考えておられますか?

黒岩:私の頭の中では、経理の業務は3種類に分類できると思っています。

まず、システムで代替可能なオペレーショナルな業務。たとえば、請求書の発行と入金確認の業務、つまり回収作業などですね。我々は『請求管理ロボ』を使っています。回収業務は機械の方が得意なので、得意なことは任せてしまおうという発想ですね。

次に、ノンコア業務。この業務の大半は、月末月初に生じます。請求書を見て仕訳に起こす作業や、それを支払伝票に起こして総合振込データを作る業務、あるいは経費精算のチェックをして支払いデータにまとめるといった作業は、頭をひねるというよりは、ガンガン手を動かす必要がある作業です。こうしたノンコア業務は、『バーチャル経理アシスタント』などのサービスを利用し、アウトソースすべきだと考えています。

最後に、コア業務。ここには「スマートニュースの会計基準をどういったものにしていくのか」といったことや「監査法人といかに折衝をしていくのか」といったことを考える業務が含まれます。

経理業務の設計自体を考えるような仕事もコア業務にあたります。SaaS選定もそうですよね。あるいは、税務戦略の立案や、株主総会で開示する事業報告書の制作、管理会計上の区分を予算管理を担当するチームと相談しながら決定することなど……挙げればキリがありませんが、つまりコア業務とは、機械や外部リソースに頼れない重要な業務を指します。

コア業務は、当然社内メンバーが担当しなければなりませんし、経理組織をマネジメントする立場にある人は「社内メンバーがいかにコア業務に集中できる環境を構築するか」を考えるべきだと思いますね。

山室:ありがとうございます。試行錯誤を重ねながら、メンバーがコア業務に向き合える環境を整えられてきたことがよく分かりました。

黒岩さん、お時間いただきありがとうございました。


●本件に関するお問合せ先
メリービズ株式会社 営業企画部
TEL : 03-6880-9674(平⽇ 10:00〜17:00)
E-Mail: sales@merrybiz.jp

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