2019.12.12.
2019.12.12.
【イベントレポート】福岡証券取引所主催「IPOチャレンジアカデミー2019第2回オープンセミナー」レポート
2019年11月12日、スタートアップなどの企業経営者や幹部を対象とした「IPOチャレンジアカデミー2019第2回オープンセミナー『上場を成長に導くためのヒントを学ぶ!』」が福岡証券取引所主催で開催されました。
「アウトソーシングを活用してIPOを加速する」というテーマのもと、ブリッジコンサルティンググループ株式会社、freee株式会社、リスクモンスター株式会社、そして当社、合わせて4社がそれぞれの視点から講演を行いました。
今回は、そのセミナーの内容をレポートしたいと思います!
「IPOコンサルティング会社が歩む自社の株式上場のプロセスとその“リアル“」ブリッジコンサルティンググループ株式会社
上記見出しタイトルで講演を行ったのは、ブリッジコンサルティンググループ株式会社 取締役COO・ファウンダー、大庭崇彦氏です。
多くのクライアント実績を持ち、上場支援経験も豊富な大庭氏がお話されたポイントは次の通りです。
IPOのメリット・デメリット
社会的な信用度や知名度のアップ、創業者利潤の確保、優秀な人材が集まりやすくなるなどのメリット多数。一方で上場準備に費用や時間が必要、株主応対コストの増加、IPO後に人材が流出する懸念といったデメリットも。
IPO支援の際によく相談される問題
人脈やネットワークに関する問題の他、種類株式調達やオーナー持ち株比率などの資本政策問題、さらにはCFO採用、ストックオプション比率などを含む組織・システムについての問題がよく相談される。
IPOする会社としない会社のポイント
IPOを成功させるためには業績はもちろんだが、経営者が上場することに強いコミット感を持つ、経営陣の運・引きの良さなど、複数のポイントがある。
IPOプロセスにアウトソーシングを活用するメリット・デメリット
早期にIPOを乗り切れる、IPO後の人材配置転換が容易な一方、市場変更の対応が難しい、社内に人材が育たないなどのデメリットもある。
IPOにまつわるリアルな問題点やポイントを、分かりやすく説明していただきました。
「バックオフィス構築に欠かせない3つのキーワード」freee株式会社
次に、freee株式会社 IPO事業部部長、新村陸氏が「業務効率化と内部統制の両立を実現する『クラウドIPO』の実践事例」と題して講演されました。
お話の軸となった「バックオフィス構築に欠かせない3つのキーワード」をご紹介します。
3つのキーワード「時間軸」「全体最適」「アウトソース」
これら3つをふまえ、以下のステップを踏んでバックオフィス構築を実現することが必要。
①3年間の「時間軸」で事業構造の変化を考える
②経理全体だけでなく会社全体を見る視点を大切にし、「全体最適」の業務フロー構築を設計する
③クラウド型「アウトソース」モデルでリソースを確保する
バックオフィス構築はIPOを目指す企業だけでなく、成長企業には欠かせないベースといえますので、こうしたポイントはかなり重要だといえるでしょう。
「与信管理に関する意識調査&IPO成功のための与信管理アウトソーソング」リスクモンスター株式会社
与信管理の視点からIPOとアウトソーシングを結び付けて講演を行ったのは、与信管理クラウドサービスを提供するリスクモンスター株式会社 営業本部与信管理サービス営業部部長、佐々木正人氏です。
佐々木氏は、与信管理についてのアンケート調査の結果に基づきお話されました。
アンケート調査の観点
「取引リスクに対してどのような取り組みをしているか」「業種、地域、企業規模によって、与信管理の取り組みにどのような傾向が生じているのか」という観点で上場企業及び会社法上の大会社を対象にアンケートを実施。
アンケート調査の結果、見えてきた与信管理における課題とは
与信管理における課題として、「取引先情報の収集」「営業担当者の教育、マインド向上」「与信限度額の決定」などが見えてきた。
しかし、与信管理業務の専門部署がなく、営業部門などほかの部署が兼務している場合が多いこと、専任の担当者がいない企業も多いということもアンケートからわかった。
アウトソーシングを利用した与信管理
専門部署や専任担当者をなかなか設けられない現状から、与信管理をアウトソーシングすることを提案。
より客観的な評価や与信管理ルールの作成はもちろん、反社チェック、クラウドシステムによる業務効率化ができる。
IPO成功に欠かせない与信管理体制構築に不可欠な取り組みや、その効率をいかに良くしていくか、そのためにアウトソーシングを導入するメリットまでわかりやすく説明してくださいました。
「IPO体制を万全にするためにアウトソーシングを導入、経営資源の有効活用を!」メリービズ株式会社
そして、当社、メリービズ株式会社からは代表取締役、工藤博樹が登壇しました。
講演内容は、IPOを成功させるための体制づくりと限られた経営資源を有効活用するためのアウトソーシング、具体的なIPO準備中企業へのバーチャルアシスタント導入事例などです。
以下に簡単にご説明します。
IPOを成功させるために必要な社内体制の整備とは
IPOを成功させるために必要なことの一つは、社内体制の整備。
具体的には財務担当と経理担当にはっきりと区分を設け、それぞれに承認者(財務部長や経理部長)を置くということ。
そのために人員もある程度必要となり、業務量も増えていくことが予想されるため、それをどう解消していくかという新たな課題が見えてくる。
IPOに必要な管理体制における課題を解消するためのアウトソーシングの活用
ノンコア業務をアウトソーシングすることで、コア業務に割く時間を増やすことができる。新たな採用や人材の育成という手間を省き、業務品質を平準化・向上化できるというメリットは大きな魅力。
『上場審査に関するQ&A』にあげられているアウトソーシングの条件
・正確性や秘密保持の担保
・アウトソーシング先から入手した資料を自社で分析できる体制
・情報取扱責任者が責任を持って開示できる体制
アウトソーシングをする際に上記3点がクリアされていることが、上場審査において重視される。
当社のオンラインアシスタントは、お客様専属のプロジェクトチームを組み、お客様の経理業務を最適化するもので、プロのサポートとスムーズかつ必要に応じたオペレーションシステムにより、上記の条件をクリアすることが可能。
こうした内容をふまえ、具体的な当社システムの導入例などの説明がありました。
IPO講演の後、活発な質疑応答が交わされたパネルディスカッション
講演の後はパネルディスカッションが行われ、質疑応答が活発に交わされました。
「内部監査ができて、上場審査は厳しくなったのか」「上場における成功確率をあげる方法は」といったIPOに関する具体的な質問や、「働き方改革の推進が必須の現代、残業チェックも厳しい中で業務をどうこなしているのか」など、スタートアップや現代の経営者ならではの悩みも。
また、「監査法人をうまく見つけるには?」といった、監査法人難民と呼ばれる企業が増えている現状についての質問もありました。
この質問には、有名監査法人(Big4など)以外にも目を向けること、審査直前のN-2段階ではなくN-5段階からお付き合いしていくことも必要という回答が示されました。
さらに、freee株式会社、新村氏の「上場することは外部にもらせないので、管理部は秘密を守るのが大変、社員からの抵抗もあるので経営陣からのケアが大事になってくる」といったアドバイスも経営者の皆さんに響いたのではと思います。
さまざまな視点からの、アウトソーシングを活用したIPO成功への道筋を解説した今回のセミナー。
アウトソーシングが業務の効率化にいかに貢献するか、IPOを目指す企業のバックオフィス構築の要の一つとなりうるかといったことが、改めて理解してもらえる有意義な時間になったのではないかと思います。