経理業務の業務委託とは?依頼できる内容・費用相場や委託先を選ぶポイントも紹介
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経理業務は範囲が幅広く、煩雑になりやすいといった特徴があります。経理を業務委託することを検討しているものの、どのような内容が依頼できるか分からない方もいるでしょう。
本記事では、経理の業務委託で依頼できる内容を解説します。業務委託するメリット・デメリットや費用、業務委託先を選定するポイントなどもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
1.経理の業務委託とは
経理の業務委託とは、雇用関係がない個人や外部の企業に経理業務を委託し、委託した分の報酬を支払うことで、アウトソーシングとも呼ばれています
業務委託は、請負契約と委任契約の2種類があります。
請負契約では、委託する経理業務が納品された際、報酬を支払います。
一方、委任契約では、業務の遂行が目的のため、完成の有無を問わず、報酬を支払います。自社で依頼を行う際には、どの契約か、事前に確認をして進めましょう。
2.経理の業務委託で依頼できる内容例
経理の業務委託で依頼できる内容にはさまざまなものがあります。ここでは、その内容の具体例を解説します。
2-1.仕訳入力・記帳代行
会計ソフトなどを活用し、仕訳の入力業務を代行することです。記帳代行と言われることもあります。
自社の取引内容を精査して、正しく入力をしてくれます。企業間の取引で発生した請求書や領収書はもちろん、通帳コピーなどを提出し正しい勘定科目で記帳します。記帳代行は、仕訳の本数や、実際の業務にかかる時間・工数によって価格が設定されます。
2-2.経費精算
経理の業務内容である経費精算も、業務委託が可能です。
社員が経費として立て替えた領収書のチェックを行い、データを担当者に送信します。業務委託内容によっては、銀行振込データを作成することもあります。また経費のチェックだけでなく、仕訳入力も業務のひとつとして含まれることもあります。
交通費精算の多い企業や従業員数が多い企業は、経費精算も膨大な量になり、時間を要するでしょう。そのため経費精算を委託するだけでも、大幅に時間的なコストを削減できます。
2-3.売掛金・買掛金の管理
顧客や取引先ごとの売掛金や買掛金の管理も、依頼できる内容のひとつです。
得意先元帳や仕入先元帳などを管理している場合は転記業務も含まれます。銀行入出金管理や請求書の発行などもすべて、業務委託先に一元管理してもらえば業務効率化が図れるでしょう。その場合も、最終確認や定期的な管理簿の更新は、自社で行うように心がけた方が安全です。
2-4.請求書等の発行
月末など繁忙期に重なりやすい請求書等の発行も、業務委託が可能です。
業務委託内容によって範囲は異なりますが、請求書等の作成のみにとどまらず、印刷や封入、発行までの業務を委託できる場合もあります。また、近年ではシステムの機能のなかに封入・発送までを委託できるものもありますので、ぜひご活用ください。
請求書等の発行は正確さが求められるため、経理担当者の精神的な負担を懸念している場合もあるでしょう。また請求書の発行部数が多ければ多いほど、煩雑になりやすいです。請求書の発行をすべて業務委託すれば、経理担当の精神的な負担を軽減させられます。さらに、繁忙期の残業時間削減も期待できるでしょう。
2-5.銀行入出金管理・振込手配
インターネットバンキングを活用して、銀行の入出金管理や振込手配を業務委託できます。
業務委託先によっても異なりますが、請求書に合わせた支払い予定表を作成したのち、問題がなければ振込手配を行ってくれる場合もあります。しかしながら、振込の手配は企業の資金繰りにも影響する重要な業務です。最終的な振込業務は、自社で対応することをおすすめします。銀行の入出金管理を業務委託すれば、経理担当者に任せられる人材が不足していても、安心して管理ができるでしょう。
2-6.給与計算
従業員の給与計算も、業務委託が可能です。
タイムカードなどの勤怠状況を確認し、給与の計算を行います。そのほか業務に付随する賞与計算や給与振込、年末調整・納税などを行う場合もあります。
給与計算を業務委託するとミスや不正を防げるだけでなく、法改正などがあった場合でもすぐに対応が可能です。また業務委託先で作成とチェックを行ったうえで、さらに自社の経理部門でダブルチェックができるため、ミスの軽減が図れるでしょう。
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3.経理を業務委託するメリット
経理を業務委託すると、3つのメリットがあります。
- 業務効率化
- コスト削減
- 社内人材のコア業務への集中
順番に解説します。
3-1.業務効率化
経理のプロに業務委託すれば、業務の効率化にもつながります。
経理を業務委託することで、自社の経理環境を整えるきっかけにもなります。紙をメインにした非効率的な業務では、当然ながら業務を委託する方もされる方もコストがかかります。経理の業務委託を皮切りに、ペーパーレス化を推進させても良いかもしれません。
また、経理の業務委託のなかには、業務フローの改善や見直しを実施できるオプションもあります。業務整理を行い、業務の流れの無駄をなくせば、ミスが減り効率性も上がります。その結果、自社内の経理担当者だけで業務を遂行するよりも環境改善され、業務効率化が期待できるでしょう。
3-2.コスト削減
経理を業務委託すると、コスト削減が期待できます。
経理担当の正社員には、毎月の給与はもちろんのこと、社会保険料や交通費などの福利厚生費が必要です。また、モチベーションアップやキャリア形成のサポート、業務のレクチャーなどのマネジメントコストもかかるでしょう。
一方で業務委託であれば、発注した業務内容の報酬のみがコストとして発生します。育成のコストの削減も図れるでしょう。一方、業務の委託方法が十分ではない場合、かえって伝達の手間が発生し、コストになることもあります。その点はご注意ください。
加えて、経理には当然、専門スキルや実務経験が求められます。経理専門の業務委託に依頼をすると、高度な知識を有した経理のプロが担当します。そのため、経理担当者の属人化を防ぎ、安定的な業務体制の構築を実現しやすくなるでしょう。
3-3.社内人材のコア業務への集中
経理業務を委託すれば、社内人材をコア業務へ集中させることが可能です。
コア業務とは、利益に直接影響する業務や、専門知識と自社企業のビジネスの深い理解が必要な業務を指します。社内の経理担当者が実施したいコア業務があった場合、既存の別業務を委託することで、コア業務に専念する時間を捻出できます。企業内の収益分析や経営計画、業務効率化などのコア業務に専念できれば、経理担当の負担を減らしつつ企業価値を高められるでしょう。
そのほかスタートアップ企業などでは、経営者や上層部の社員が兼任で経理を行っていることもあります。ノンコア業務の経理内容を業務委託すれば、経営者や上層部の社員が本来行うべきコア業務に集中でき、業績アップや生産性の向上につながるでしょう。
4.経理を業務委託するデメリット
本章では、経理を業務委託すると生じるデメリットを解説します。経理を業務委託する前に、デメリットの把握もしておきましょう。
4-1.社内情報の取り扱いに関するリスク
経理の業務を委託するということは、社内の情報を社外でも扱うことになりますので、リスクは発生します。
一般的に、業務委託サービスを展開している企業であれば、情報管理を徹底しているでしょう。しかし、個人に委託する場合も中にはあるかもしれません。原則として委託元の企業のセキュリティポリシーを準拠し、NDA(秘密保持契約)の締結や、契約書に該当文言を記載する、委託先のセキュリティ内容をヒアリングする、といった対策が一般的です。
委託を検討する際には、自社のセキュリティポリシーを確認しておくことをおすすめします。
4-2.コミュニケーションコストがかかる場合も
経理を業務委託すると、コミュニケーションコストがかかる場合もあります。
自社の経理担当者であれば、顔を合わせる機会も多く、担当者の変更もほぼありません。経理担当者が事業内容を理解していることが多いため、阿吽の呼吸で業務を実施できることも多いでしょう。
一方で業務委託の場合、コミュニケーションの機会が限られる場合があり、自社企業の事業を100%理解しているわけではありません。打ち合わせ機会を設け、正確な依頼や指示出し、そして委託元の情報開示が必要です。また、定期的にメンバーが代わる際、業務委託先で引継ぎが行われないこともあります。メンバー変更があった際、うまく引き継げず、再度指示を出さなければならないなどの可能性もあるでしょう。
業務委託先は下請けではなく同じ目線で業務を遂行するパートナーですので、事業内容や背景情報を事前共有しておきましょう。結果的に、背景情報が豊富な方が、業務の進みが良くなり、効率性も上がります。
5.経理の業務委託先(経理アウトソーシング会社)を選ぶ際のポイント
経理を業務委託すると決まったら、業務を安心して任せられる委託先を探しましょう。本章では、業務委託先を選ぶ際のポイントを解説します。
5-1.カスタマイズ性
自社に必要な業務を柔軟にカスタマイズできるかは、重要なポイントです。委託したい経理内容をしっかり見極め、頼みたい業務内容が網羅できるのかを確認しましょう。
また既存の業務手順から大幅に変更が必要となる業務委託先を選ぶと、委託する際の工数が増え、業務の効率化が叶わなくなる場合があります。できるだけ、既存の会計ソフトや業務フローを変更する必要がない業務委託先を選ぶとよいでしょう。
5-2.実績・導入事例
信頼できる業務委託先かを見極めるためにも、実績や導入事例を確認しましょう。
導入社数が多かったり継続率が高かったりすれば、経験や知識が豊富で利用者からの信頼も厚いといえます。実績が多ければ、業務委託先全体にノウハウが蓄積されている可能性もあります。その分、自社の状況に合わせた業務をこなしてくれるはずです。また導入事例に自社と同じような事業や規模、業界があるかも確認しましょう。業務委託の活用方法を知り、イメージを掴みやすくなります。
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5-3.業務提供開始までのスピード
契約をしてから、業務提供開始までのスピードが早い業務委託先を選ぶことも重要です。
経理業務はどの業務内容であっても、ほとんど期日が決まっています。リソース不足で業務委託をする場合、提供開始時期が遅ければ、業務が停滞したり担当者の負担が大きくなる可能性が高くなります。質問に対する回答の早さや、打ち合わせに至るまでの対応スピードは期待に沿っているかなど、スピード感があるかもチェックしましょう。
5-4.セキュリティ
経理業務は、社内の業務のなかでも機密情報を扱う頻度が高い特徴があります。
機密情報を外部の企業へ提示しなければならない業務委託では、セキュリティ体制が整っていなければなりません。そのためにも、契約前に必ずセキュリティ体制を確認しておきましょう。自社と同等、もしくは自社以上のセキュリティ体制が取れていると安心です。
たとえば情報漏えい対策として、アクセス履歴のチェックやアクセス制限、メール監視などが行われているかの確認は大切です。Pマークなどの第三者認証を取得しているかどうか、パソコン貸与が可能かなども確認しましょう。
5-5.費用
多角的な視点で費用対効果を比較してみましょう。
基本的に経理業務の委託は、企業の規模や件数によって変動します。また月額料金の場合もあれば従量課金の場合もあるので、依頼する業務内容の相場を調べておくとよいでしょう。
業務委託先によっては導入費用がかかりますが、検討する際は正社員採用・派遣社員採用との比較も重要です。経理を業務委託することで、今まで発生していたコストがどのくらい削減できるのか、費用対効果をしっかり把握して検討していくと安心です。
経理アウトソーシングを選定する際のポイントを詳しく知りたい方は、以下のアウトソーシング選定ガイドを参考にしてください。
6.経理の業務委託費用相場
経理の業務内容は幅広いため、依頼内容によって費用は異なります。工数、または月額料金での請求が一般的です。定期的に訪問や業務改善の提案なども依頼した場合、少なくとも10万以上、高額になると数百万となることもあるでしょう。
また、業務委託先によって得意な業務内容や費用も異なります。
業務委託先 | 税理士事務所 | オンライン型の経理アウトソーシング会社 | センター型の経理アウトソーシング会社 |
対象企業 | 個人事業主 零細企業 |
中小企業 ベンチャー企業 中堅企業 大企業 |
中堅企業 大企業 |
予算 | 5~20万円 | 10~200万円 | 50~300万円程度 |
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経理の業務委託についてまとめ
経理の業務委託は、仕訳入力や経費精算などに留まらず、売掛・買掛管理や請求書の受領・発行、決算対応など、経理に関する内容であれば委託が可能です。経理を業務委託すれば、新たな正社員登用をする必要がなくなり、育成コストなどの削減が可能です。また経理のプロに委託できるため業務効率化が図れコア業務に集中できます。
経理の業務委託を活用して、業務の改善を図り経理担当者の負担を軽減させるために、業務委託を検討してみてはいかがでしょうか?
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