記帳代行とは?メリット・デメリットや注意点、必要書類など基礎知識も解説

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経理業務の1つである記帳は、日々の取引を正しく帳簿に記入し、企業のお金の流れを把握するための重要な業務です。帳簿は決算資料の大元となるため、正確に記帳した帳簿を作る必要があります。しかし、細かな数字を扱う煩雑な業務のため、経理担当者の負担になっている企業も少なくありません。

そのため仕訳件数が多い場合や、記帳業務ができる経理担当者が少ない企業では、ほかの経理業務が圧迫されることもあります。

そういった場合は、記帳代行を利用することで、業務の負担を大幅に減らすことができます。そこで本記事では、記帳業務代行に必要な書類やメリット・デメリットなどを詳しく解説します。

1.記帳代行とは?

記帳代行とは、企業の記帳業務を代行するサービスです。

帳簿は、確定申告や法人税/所得税などにも関係する重要な書類であり、一定の期間保存が義務付けられています。帳簿を正確に作成することは、事業の状況を定期的に確認・把握するために重要です。記帳とは、この帳簿をつけることを表し、アウトソーシングすることもできます。代行業者に依頼すれば、担当者の負担を減らすことができるでしょう。

基本的に記帳業務をアウトソーシングする際は、請求書や領収書の控え、通帳のコピーといった信憑書類を、依頼先にPDFや原本で渡すことになります。代行業者はそれらの内容を仕訳に起こし、エクセルや会計ソフトに入力し、試算表や総勘定元帳などの帳簿を作成します。

2.記帳業務が重要な理由

記帳業務はすべての事業者に義務付けられているものです。ここでは、記帳業務が重要な理由をご説明します。

2-1.記帳業務は義務化されている

記帳業務は、平成26年の税法改正によって、すべての事業者に対して義務化されました。
それ以前は、すべての事業者を対象としておらず、白色申告の場合、「前々年または前年分の事業所得や不動産所得、もしくは山林を所有する合計額が300万円を超える事業者」が記帳をするよう求められていました。また、記帳の保存義務も一部の人だけに限定されていました。

しかし記帳している事業者と記帳していない事業者がいると、すべての取引の透明性を確保することは難しく、税務調査を行うときにも支障が出ます。そのため、すべての事業者に正しく納税してもらうためにも事業の規模に関係なく記帳が重要である認識が高まり、法改正によって白色申告を行うすべての人に記帳やその保存が義務付けられました。

出展:平成 26 年分 所得税の改正のあらまし 税 務 署
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/h26kaisei.pdf

2-2.記帳する際の注意点!記帳業務に勘定科目と仕訳の理解は必要

記帳業務を行う際には簿記の知識が必要で、最低限、勘定科目と仕訳についての理解がなければいけません。簿記の知識がないまま記帳業務を行うと計上ミスが起きる可能性があり、やり直しの手間が生じます。仕訳とは、貸方と借方に分けて取引ごとに勘定科目を振り分けて記帳する作業です。

勘定科目とは、取引の内訳を簿記のルールに則って詳細に記録するための項目のことです。勘定科目や仕訳に関する理解は、記帳業務をする際に必要となります。経理業務の基本とも言えるため、記帳業務を行う前に理解を深めておきましょう。

3.記帳代行のメリット

帳簿は事業全体の流れや状況を把握するために重要なものです。一方、記帳業務には簿記のスキルが必要になる他、取引件数が多いと他の経理業務に負荷がかかってしまいます。経理業務・記帳業務のプロに依頼することで、担当者の負担を軽減していきましょう。ここでは、記帳代行を利用する様々なメリットを解説します。

3-1.記帳業務の負担を軽減

記帳代行を利用すれば経理業務の負担を減らせます。
記帳業務は、経理の仕事の中でも日々発生するルーティン業務です。正しい帳簿を作成するためには、簿記の知識を持った担当者が、正確に記帳しなければいけませんが、経理担当者は他にも様々な業務を抱えています。

経理担当者が少ない企業では特に、記帳業務が経理部全体の重荷となる場合も少なくありません。記帳代行を活用すれば、記帳に必要な書類を渡すだけで会計ソフトへの入力から帳簿作成まで対応してくれるので、経理業務の負担を軽減し効率化を図れます。

3-2.記帳業務におけるミスの軽減・迅速な対応

記帳ミスを軽減できる点もメリットといえます。
簿記の知識が浅い、実務経験年数が短い、など、記帳業務に不慣れな場合、記帳ミスが発生することが多くなります。

記帳代行に依頼することで、記帳ミスや不安を軽減できます。また、記帳に関する法改正があった際にも迅速に対応してもらえて安心です。

3-3.コア業務に集中できる

記帳代行を利用すれば、経理業務の負担を減らせるためコア業務に集中できます。

企業によっては、記帳を経営者が自ら対応しているケースも少なくありません。また小規模な事業者では一人経理の企業も多く、、経理の知識を持った社員が退職したり、病気や怪我で長期で休職したりすると、記帳業務が滞ってしまいます。新たに高い経理スキルを有した人を雇わなければいけなくなることもあるでしょう。

記帳代行会社に依頼すれば煩雑な記帳業務に時間を割く必要がなくなるため、経理業務の負担を大幅に減らすことができ、業務の効率化や生産性の向上により本来注力すべきコア業務に集中できます。経理担当者が記帳以外のコア業務に専念できれば、限られた時間とコストを有効に活用できるでしょう。

4.記帳代行のデメリット

記帳代行のデメリットについても見ていきましょう。メリットとデメリットを比較して、自社にとって記帳代行を依頼するべきなのか、社内で対応するか判断するとよいでしょう。

4-1.社内にノウハウが蓄積しづらい

記帳代行会社を利用すると、経理業務の負担を軽減でき、自社で記帳するよりもミスが発生するリスクを減らせます。しかし、記帳をアウトソーシングすると、社内での記帳業務に関するノウハウが蓄積できないデメリットが生じる可能性があります。長期で継続して記帳代行会社を利用する場合、記帳業務の経験がない経理担当者が出てくるかもしれません。

記帳はすべての事業者に義務付けられているものです。社内で簿記の知識があり、記帳業務に詳しい経理担当を育てることも必要です。今後事業規模を拡大する予定がある企業は、代行会社に記帳業務を任せるだけではなく、記帳代行会社と社内の経理担当者、税理士や会計士などが連携して、ノウハウを蓄積できるような環境作りを構築していきましょう。それぞれ各所が連携し、社内の人間もフローを把握することでノウハウが蓄積できなくなるリスクを回避できます。

4-2.継続的な依頼コストがかかる

記帳代行会社に記帳を依頼すると当然コストがかかります。

記帳代行は、基本的には一度依頼すると継続的にコストがかかると認識しておきましょう。料金は記帳代行会社によって異なりますが、記帳代行会社の多くは、毎月一定の仕訳量や作業工数を上限とした月額料金制を採用している会社が多いです。記帳する件数が多いなど作業工数がかかる場合は、その分利用料が高くなります。

また、記帳代行を利用していると、代行会社に依頼する業務が徐々に増えてしまうことがあります。
代行会社を使うときには、最初に予算とどのような業務を依頼するのか明確にしてから利用するようにしましょう。

4-3.スピードや質が不十分な場合がある

記帳代行を依頼する場合、自社から必要書類を代行会社に送付し、代行会社がシステムに入力、帳簿を作成、報告という流れになります。
クラウド化していたり、PDFで証憑を共有できれば、送付の手間はかからず、会計ソフト上でやりとりが完了し、タイムラグは小さくて済みます。しかし、紙での送付の場合は特に、自社で記帳業務を行うよりもタイムラグが発生することを理解しておきましょう。

また代行業者に提出する書類の多くは機密情報です。自社の重要なデータを外部へ持ち出すため、情報漏洩のリスクは発生します。記帳代行業者を選ぶ際には、業務の品質やスピードだけではなく、セキュリティやどのように情報管理を行っているかも確認しましょう。

5.記帳代行を利用する際に必要な書類

記帳代行を利用する際に、企業で用意する書類は以下のものです。

・預金通帳のコピー
記帳してから月の1日~月末までが見えるようにコピーします

・領収書、現金出納帳のコピー
現金の入出金に関する書類

・売上管理表
売上管理表または売上台帳など売上に関する書類

・支払管理表
支払管理表や支払先からの請求書など

・立替金の書類
クレジットカード明細など

・賃金台帳
賃金台帳または給与明細など給与に関する書類

電子データで保存しているものは、あらかじめ印刷しておきます。また記帳代行会社によって、コピーで良い場合と原本が必要な場合があるので確認しておきましょう。

6.記帳代行を利用する際の注意点

記帳代行を利用するときの注意点についてお伝えします。

6-1.記帳代行だけで課題が解決できるのか

記帳代行を依頼する前に、記帳業務のどの部分を委託したいのか明確にしましょう。記帳代行だけではなく、請求書の発行や支払い、給与計算などより広い範囲の経理業務の代行を考えている場合は、経理業務全般に対応できる代行サービスを利用した方がよい場合もあります。

代行会社を選ぶ前に、経理担当者の負担になっている業務は何か、どの部分を代行会社に依頼したいのかを洗い出してから、自社の希望にあった業務を対応してくれる代行会社を探しましょう。

6-2.信頼できる代行会社かどうか

記帳代行を依頼する場合、売上管理表や支払管理表、賃金台帳など社内の重要な機密情報を提供しなければいけません。外部に情報を持ち出すため、情報管理がしっかりしている代行会社を選ぶ必要があります。

代行会社のホームページに機密情報の取り扱いや守秘義務が明記されているかを確認しましょう。見積もりを取るときの対応なども参考になります。不明な点や知りたいことは契約前に担当者に確認して、信頼できる記帳代行会社を選ぶようにしてください。

7.経理業務ならバーチャル経理アシスタントにご相談ください

記帳代行・経理業務のアウトソーシングをお考えなら『メリービズ バーチャル経理アシスタント』にお任せください。記帳代行はもちろん、請求書・納品書・領収書などのさまざまな帳票や伝票類の起票、会計ソフトへの入力から仕訳までワンストップで対応できます。

また、『バーチャル経理アシスタント』は、日々の経理業務だけではなく、決算業務などでも利用が可能です。あらかじめ共有いただいた既存の社内ルールにもとづいて業務を行い、ときには業務の再設計も行います。すべての経理業務から代行が必要な業務を選んで、フルカスタマイズご利用いただけます。

詳しい情報について気になる方はぜひこちらの資料もご覧ください。

 

 

記帳代行についてまとめ

記帳代行は経理の重要業務の1つである記帳業務を代行するサービスです。記帳は、正しく行う必要があるため簿記の知識のある人が行う方が安心です。経理担当者が煩雑な記帳業務に時間を取られてコア業務に集中できない場合は、記帳代行会社を利用するといいでしょう。

ただし記帳代行は記帳業務だけを代行するサービスなので、記帳以外の経理業務も依頼したい場合は、経理アウトソーシングが適しています。アウトソーシングしたい業務は何かを精査したうえで、確実に外注したい業務を任せられる代行会社を選ぶようにしましょう。

 

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