経理の仕事は将来なくなる?今後も求められる役割・スキルを紹介

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AI(人工知能)の発達により、業務を効率的に進められるようになった反面、人が行ってきた仕事を奪われるのではという危機感が生まれるようになりました。人材・資金・資材・情報を管理する経理の仕事は業種業界問わず不可欠なものですが、これもAIが行うようになるのでしょうか。これから必要とされる経理のスキルとはどのようなものなのか、具体的な経理業務の内容を説明しながら詳しく見ていきます。

1.そもそも経理の仕事とは

企業のお金の流れを管理する経理の業務には大きく、日次業務・月次業務・年次業務の3つがあります。

日次業務は、現金の出納管理や各部署の経費の精算、帳簿・伝票管理、預金の管理や取引先の与信管理などです。月次業務には、毎月の決算書作成や予算実績管理、請求や支払業務、社員に支払う給与計算などがあります。さらに、年に一度の決算業務や法人税等の申告及び納税、次年度の予算編成、年末調整、償却資産の申告などの年次業務が加わります。

経理業務の中でもっとも比重が大きいものは、年次の決算業務と言われています。日常の業務で管理している出納管理や帳簿を一年分まとめ、損益計算書や貸借対照表などの決算書類を作成します。

1-1.経理業務が重要な理由

経理業務は、取引先への請求・支払や、株主への報告、税務申告に必要なだけではありません。企業にとって経理は、経営の要とも言える業務です。日々のお金の流れを管理するだけではなく、人材・資材・情報の管理を通じて組織の状態を見える化し、経営層などの関係者へ共有し、解釈や方向性を伝えていきます。

経理では各部署の会計情報を管理しているため、経営側では気づきにくい現場での重要な出来事や流れを掴んでいることも少なくありません。経理が取り扱う情報は、組織全体の現状や収益性を把握するのに役立ちます。また、現場で気づいたことなどを経理から経営層へ伝えられるため、意思決定のサポート役も担っているといえるでしょう。

2.将来的になくなる・減る可能性が高い経理の仕事

経理業務は企業の経営方針にも関わる仕事で、日次業務から年次業務まで多岐に渡ります。将来的にAIが取って代わる可能性の高い経理の業務や、業務量が減る可能性が高い業務について解説していきます。

2-1.システム・ツールで代替できるシンプルな業務

システムを活用することができるシンプルな経理業務は、今後なくなる可能性が高いでしょう。例えば、帳簿や伝票から数字や文字を入力したりチェックしたりする業務は、手作業よりもシステムを使う方が迅速かつ正確に処理できます。コピーアンドペーストで作る資料や書類なども、システムを上手に連携させれば自動処理ができるようになるでしょう。

業務に適したシステムがない場合でも、OCRやRPAを使うことでこれらの業務を代替し、効率化することができます。RPAとはRobotic Process Automationの略称で、ソフトウェアロボットを指す言葉です。RPA導入により、請求書や給与明細書の発行、領収書の査収や支払処理など、多くの単純業務を所定の処理フローに沿う形で自動化することができます。

2-2.紙・ハンコなどを扱う物理的な業務

パソコンやインターネットの普及で、すでに経理業務を含む多くの業務が電子データ化されています。さらに電子帳簿保存法の施行により経理分野でもペーパーレス化が推奨されており、紙や印鑑などを使用する物理的な業務は大幅に減少することが予測されます。

従来は、請求書や領収書を作成・発行した際、社判や担当者の印鑑を押したものが正式な書類とされてきました。今後は、経理で扱う書類の電子データ保存が推奨されており、スキャナ保存や会計ソフトの活用、電子契約に注目が集まっています。

また、すでに紙で存在する書類をデータ化する際は、画像データのテキスト部分を文字データに変換するOCR(光学文字認識機能)を用いた自動化が有効打となります。多くの会計システム・ツールに導入されており、紙伝票や帳票の入力作業を大幅に効率化しています。

2-3.その他ノンコア業務

他にも経理業務の中でノンコア業務は減少する傾向にあるでしょう。ノンコア業務は、例えば仕訳用のデータの整理や、経費精算や勤怠締めを確実に終わらせるためにリマインドする、他部署の社員からの経理・精算業務に関する質問への回答などがあります。これらの業務にはコミュニケーションが伴うので、現状はシステムやツールで代替しにくい範囲です。しかし、従業員の経理リテラシー向上や、システムやツールの浸透などによって、今後さらにノンコア業務は少なくなると予想されています。

先々の情勢を踏まえ、現段階から徐々にノンコア業務を減らしていけるよう調整しましょう。

3.今後もなくならない経理の仕事・役割・スキルとは

AIやITシステムが業務を代替することで、業務効率化やコスト削減など企業にとってのメリットが多数生じています。しかしどんなに技術が進化しても、今後も人が行うべき経理の業務や必要とされるスキルは存在します。詳しく見ていきましょう。

3-1.イレギュラー要素が多い単純業務

単純な業務の中でもイレギュラー対応が多いものは、今後も人間が担当する必要があるでしょう。例えば四半期ごとの決算は、システム化やテンプレート化されていないことが多いため、機械にすべてを任せることは難しく、今後も人が主体となり行うと考えられます。
また、ペーパーレス化が進んでもどうしても紙の書類を使わなければ成立しない業務もあります。これらの書類の作成も、人の手を介して行う必要があります。

3-2.ルーティン業務の正確性・効率性を高める役割

ルーティン業務のオペレーション設計や業務効率化、月次決算の早期化、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進など、ノンコア業務をスムーズに進めるための改善にも、人の手が必要です。例えば売上・債権管理、債務・出金管理、資産管理など実態を把握する単純業務にはシステムを活用できますが、会計管理の高度化・精緻化、予測・シミュレーションや予実管理などのコア業務は、専門スキルを持った人材が行った方が良いでしょう。

さらに経営者への情報提供や意思決定のサポートは、コミュニケーション力も必要となり、やはり人間が担当した方がいい業務といえます。また、ノンコア業務をスマートに進めるための仕組みを作るなど、論理性と組織に合わせたカスタマイズが必要な業務はコア業務と捉えられ、機械より人間の方が適しています。

一般的に、問題解決/意思決定のプロセスを考えるときは、空・雨・傘のフレームワークを用いることがあります。経理の業務においてもこの手法は有効であり、売上や債務・入金管理などの事実を把握し(“空”)、予実管理など分析を行い(“雨”)、それを元に解決策や施策を立案、実行する(“傘”)ことで、業務改善を図ることができます。こうした役割は、今後も人間が担う必要があるでしょう。

3-3.事業のフェーズに合わせて会計・経理の仕組みを作る役割

事業のフェーズに合わせて会計や経理の仕組みを作る業務もまた、人が行う必要があります。

例えば新規事業ができた場合、予算策定や予実管理の際には既存事業とは切り分けて適した会計基準に当てはめて管理する必要がありますが、機械ではこれに対応できません。事業形態に合わせた予実管理や科目の見直しは、数字の集計だけではなく分析や事業への理解が必要になります。さらに新たな経理の仕組み作りでは、事業部と密にコミュニケーションを取る必要があるため、人が担当した方が齟齬が少なく円滑に進められます。

会計や経理のアップデートが遅れた場合、事業部側に最新の経営状況が正しく伝わらなくなってしまいます。経営状況が正しく把握できないと、意思決定の遅れや間違った判断をするリスクが高まります。そういったリスクを避けるためにも、予実管理や科目の見直し、新たな経理の仕組み作りなど分析やコミュニケーション力を必要とする業務は、今後も人が行う必要があると言えるでしょう。

3-4.デジタル化やツールを導入・活用するスキル

デジタル化が進めば進むほど、「いかに使いこなすか」が肝要となります。経理でもDXが積極的に進められるなか、発展していくツールやAIを使いこなすためにはIT活用スキルが必要です。経理の知識だけでなく高いITリテラシーを持つ人材は、経理部門において高く評価されます。基本的なパソコンの操作方法や日次業務に必要な会計ソフトの取り扱いはもちろん、エクセル・ワード・アクセス、データ分析用の各種システムなどを使いこなせれば、日々の業務を大幅に効率化できます。

高いITスキルを活かして会計ソフトのデータを分析し、経営層へ予実状況の共有やコスト削減の提案をしたり、過去の販促活動の費用対効果をアドバイスしたりすれば、経理担当としての評価はますます高まります。

3-5.IR・決算説明資料など対外的な報告資料作成スキル

外部に向けて決算情報を分かりやすく説明することは重要であり、そのための資料作成スキルはたいへん重宝されます。IRとはInvestor Relationsの略称で、株主や投資家に対して財務情報など投資判断に必要な情報を提供する活動を指します。決算説明資料は、一般的には経営企画部や広報部、総務部などで作成する企業が多いですが、経理部や財務部門の組織内で行うこともあります。数字の管理と共に、数字の見せ方、表現方法は人の手が必要となるケースが多く、なかなか機械に代替できない業務であると言えます。

3-6.経営者・事業オーナーの判断を助ける情報提示

一般的な経理業務をこなすだけではなく、経理の仕事を通して企業全体の事業状況のバランスを読み取れるスキルは価値が高いです。企業の状況を可視化したり、経営者・オーナーの思いを汲み取りながら経営判断に関わる情報を迅速に提示したりするためには、経理の知識と経験がある人材に限られ、企業側からすれば手放せない人材となるでしょう。

また、AIによって処理された情報を素早く確認してその正しさを判断する業務も、引き続き人間が行う必要があると言えます。

4.経理業務アウトソーシングを活用してコア業務に集中しよう

今後もなくならない経理の役割・求められるスキルを身につけるには、コア業務に集中できる環境を作る必要があります。ノンコア業務のほとんどは今後、AIに代替されると考えられるからです。

コア業務に集中する方法の一つに、アウトソーシングの活用があります。帳票や仕訳入力、経費精算、売掛金・買掛金管理、請求書や領収書の発行などの日次業務をアウトソーシングしたり、決算の時期だけリソースを増強したりできます。これらのノンコア業務をアウトソーシングすることで、部門全体の効率化が進み、コア業務に集中できる環境を作れます。

メリービズのバーチャル経理アシスタントなら、自社の経理業務の内容に合わせて自由に委託する内容をカスタマイズできるため、コア業務だけに集中し、生産性を飛躍的に向上させることが可能です。

興味がある方は、こちらからメリービズへの無料相談が可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。

経理の仕事の将来性についてまとめ

経理業務は、AIの進歩によって将来的になくなる仕事と言われることもあります。しかし経理のすべての業務をITが取って代わるのではなく、コア業務を人間が行い、単純業務やノンコア業務をAIやシステムで処理するようになっていくでしょう。長く経理の仕事で活躍するためには、経理の仕組み作りやシステムを活用できるスキルがあると有利です。

また今後の経理業務の変化に対し、IT化を進めるだけではなく、人がコア業務をおこなえるようアウトソーシングを活用して柔軟な体制を構築することもおすすめです。

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