経理プラスサミット2022 「一歩先の『経理の働き方』を実現~経理のDX化・業務改善~」

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近年、長時間労働の見直しやコロナ禍でのリモートワークの浸透などにより、企業における働き方は大きく変化しています。それに伴い各所で業務効率化が推進されていますが、経理・財務の分野では、通常業務に加えて電子帳簿保存法の改正やインボイス制度の開始など、法改正に伴う対応も進める必要があり、業務効率化を進めにくい実情があります。

このような背景より、経理・財務にまつわる最新情報を発信するWebメディア「経理プラス」を運営する株式会社ラクスは、オンラインイベント「経理プラスサミット」を開催しています。経理担当者の役に立つ法改正対応や業務効率化の方法が講義形式で紹介されるイベントで、2022年2月の開催時には約1,000名が参加しました。同年7月に開催された際には、メリービズ代表取締役の山室佑太郎が登壇しましたので、その内容をまとめてご紹介いたします。

主催者紹介

株式会社ラクス|国内トップクラスのシェアを誇るSaaS企業

株式会社ラクスは、ITサービスで企業の成長を継続的に支援する企業です。交通費や出張費などの経費に関連するあらゆる業務を一元管理し効率化、電子帳簿保存法にも対応する経費精算システム「楽楽精算」。請求書などの帳票の電子化、取引先への自動発送により業務負担の軽減とコストカットを実現する電子請求書発行システム「楽楽明細」。また、販売管理、受発注管理、進捗工程管理など、さまざまな業務での効率化・標準化・コスト削減を実現できる「楽楽販売」などを展開。デジタル化、業務効率化、生産性向上につながるさまざまなサービスを企画・開発・運用している。

「経理プラス」とは

株式会社ラクスが運営するWebメディア。経理・財務トピックスに対する専門家の解説、最新情報、業務効率化のポイントなどのお役立ち情報を配信している。スキルアップにつながるイベントなども開催。経理担当者同士で業務やキャリアに関する情報交換・交流ができるFacebookグループ「経理プラスコミュニティ」も運営している。

登壇者紹介

袖山 喜久造 氏

SKJ総合税理士事務所 所長・税理士
SKJコンサルティング合同会社 業務執行社員
東京国税局にて国税専門官として大企業の法人税調査などを担当勤務した後、2012年にSKJ総合税理士事務所を開設。2019年にSKJコンサルティング合同会社を設立し、電子帳簿保存法やインボイス制度に関する電子化のコンサルティングを行っている。

山室 佑太郎

メリービズ株式会社 代表取締役
東京理科大学専門職大学院在学中より、エムスリー株式会社にて製薬会社へのマーケティング支援に従事。その後、総合系コンサルティングファームを経て2015年にメリービズ株式会社へ参画。2016年10月に取締役に就任し、『バーチャル経理アシスタント』の事業立ち上げを陣頭指揮。東証プライム上場企業からベンチャー・スタートアップ企業まで、数十社以上のコンサルティングを行う。2022年2月から代表取締役に就任。
メリービズは「ビジネスを楽しく」というビジョンのもと、バックオフィス領域をサポートするサービスを展開。経理会計のアウトソーシングサービス『バーチャル経理アシスタント』、DX推進のコンサルティングサービス『メリービズ経理DX』を提供している。

一歩先の「経理の働き方」実現のために重視すべき3つのポイントとは?

メリービズでは『バーチャル経理アシスタント』や経理DXのコンサルティング事業を展開する中で、さまざまな企業の経理・会計業務からお悩みを聞いてきました。そこでイベントでは、実際に多くのお客様の声に寄り添ってきた山室より、一歩先の「経理の働き方」を実現するための重要な3つのポイントについて解説いたしました。当日の内容を講義形式でお届けします。

経理・バックオフィスの現状

今回のテーマである「一歩先の経理の働き方実現のためのポイント」をお話する前に、まずは経理・バックオフィスの現状をご説明します。

今、私たちを取り巻く環境は大きく変化しています。「少子化/人口減少」「新型コロナウイルス流行」「電子帳簿保存法・インボイス制度などの法改正」といった具合に様々な変化が起きています。その結果、残業時間の増加や離職率の上昇、採用難、業務の属人化、やむを得ない出社や法改正への対応など、課題は山積しているのではないでしょうか。経理・バックオフィスはともかく忙しくて大変という状況だと思います。

出典:「経理・財務の業務内容について経理パーソン&管理職1725人に調査!」株式会社インフォマート

株式会社インフォマートが経理財務担当者を対象に行った調査によると、経理・財務の業務内容について70%が「変化が求められていると感じる」と回答。また57%が「経理・財務として本来担うべき役割を実現できていない」と回答しています。多くの方が、経理部門のあり方を変化させたり役割を変えたりしていきたいと思っているにもかかわらず、それを実現できていない現状が見えてきます。

出典ガートナー ジャパン「ガートナー、日本企業のクラウド・コンピューティングに関する調査結果を発表」(2021年6月14日)

ガートナージャパンの調査によると、2020〜2021年にかけてSaaSを導入したと回答した企業は急増しました。導入が当たり前になりつつある一方、約4割の方がクラウドサービスについてネガティブな意見を持っているようです。私たちも「クラウド会計の利用には不安が残る」「導入したがうまく運用できていない」といった相談をいただくのですが、特に昨年から増えている印象です。

一歩先の「経理の働き方」実現のための3つのポイント

経理・バックオフィスの現状をふまえて、一歩先の経理の働き方を実現するために大切なポイントを3つご紹介します。
(1)「コア業務とは?」を理解する
(2)経理DXを推進する
(3)アウトソーシングを活用する

弊社がこれまでお客様を支援してきた中で、経理や財務の働き方をアップデートできている企業さまの多くはこの3つを実践されていたように思います。ではそれぞれ詳しくご説明します。

(1)「コア業務とは?」を理解する

3つのポイントの中で一番お伝えしたいのは、「『コア業務とは?』を理解する」ことです。よく「コア業務に集中しましょう」といったワードを目にしますが、そもそもコア業務が何かがわかっていないケースが多いと感じます。

一般的に「コア業務」とは、利益に直接影響し、専門性と自社ビジネスへの深い理解が必要な業務とされます。一方「ノンコア業務」はコア業務を支えるもので、ルーティン性があり、確実性や専門的な知識が求められる業務とされています。大事なことは、ノンコア業務は誰にでもできる業務ではないという点です。

ここでみなさんの会社におけるコア業務を理解するために、「ソラ・アメ・カサのフレームワーク」をご紹介します。このフレームワークは課題解決のためによく用いられるものです。たとえば朝、出社前に空を眺めて、雨が降りそうであれば折りたたみ傘をカバンに入れていくと思います。「空に雲が見える」という事実を把握し、「雨が降りそうだ」という解釈をする。そして「傘を持っていこう」という意思決定を行っているのです。

では経理・財務会計における「ソラ」「アメ」「カサ」を考えてみましょう。

まず「ソラ」は経理業務の一丁目一番地である「事実の把握」です。伝票の起票、仕訳入力、売掛・買掛管理といった日々の運用などがこれに当たります。欠かせない業務ですね。

「アメ」は「解釈の付与」です。数字はそれだけでは意味を持たず、活用するためにはこれに命を吹き込まなければいけません。お客様から「仕訳や決算で数字は出てきたけれど、それが良いのか悪いのか判断できない」というご相談をいただきます。そこで管理会計を導入するなどしてその数字を分解し、何が起きているのかを把握して解釈することが大事です。

この解釈をもとに、会社として何をするべきか・しないべきかを判断します。この「判断・意思決定」が「カサ」の部分です。本来、企業において経理・会計の活躍すべき領域は、この意思決定のサポートだと考えています。具体的なアクションとしては、経営者への情報提供や現状の説明といった「判断の提示」、他部門への情報提供や目標実現のサポートといった「実行の支援」が考えられます。

多くの経理担当の方は、コア業務である「解釈の付与」と「判断・意思決定」の部分に時間を割きたいと思いつつ、「事実の把握」に追われてそこまで手が回っていないのではないでしょうか。

企業フェーズごとのコア・ノンコア業務

ではコア業務とノンコア業務には具体的にどのようなものがあるのか、一例を企業のフェーズごとに見ていきましょう。

まずコア業務について、大企業では会計基準変更の対応、監査法人との折衝、IR戦略、システムの効率的な運用設計などがあげられます。
中小・中堅企業の場合は、基本的にはキャッシュフローの部分である資金繰りや管理会計が該当します。また中小企業では、一人経理のケースが多く業務が属人化しやすい傾向があります。経理担当者が体調を崩して業務が回らなくなるリスクを軽減するためにも、残業時間の削減もコア業務の一つに入ると思います。
スタートアップ企業では、事業拡大のフェーズにおける体制構築がコア業務に当たります。たとえばルーティン業務の安定化や業務プロセス・ルールの設計、管理会計の構築ですね。スタートアップ企業では会社の状況が変わりやすいため、課題に優先順位をつけて取り組むことが大事です。

コア業務については大まかにご理解いただけたと思います。ただコア業務に力を入れたくても、仕訳処理や請求書発行などのノンコア業務に日々追われていると、そうもいかないでしょう。ではどうすればいいのか。その答えはシンプルです。

「ノンコア業務を減らす」か「ノンコア業務をやらない」かです。

(2)経理DXを推進する|ノンコア業務を「減らす」

ノンコア業務を減らすための効果的な手段が「経理DXの推進」です。

「属人化が進み、無理無駄が生じている」「時間がかかり過ぎているが、その理由がわからない」という悩みをよく聞きますが、こういう場合、そもそも全貌を把握できていないケースが多いと感じます。先ほどご紹介した「ソラ・アメ・カサのフレームワーク」に当てはめると、そもそも窓から雲が見えていない状況です。そこで経理DXを推進するために、取るべきステップ3つをご紹介します。

最初のステップは「現状を見える化する」ことです。関係者へのヒアリングは手間を惜しまず行い、聞いた内容をノートに書き出したりフローチャートにしたりして、「ありのまま」を見える化し理解しましょう。

次のステップは「課題を見つける」ことです。見える化したものを確認し、「業務の進め方に非効率な部分がある」「エクセルが複雑になっている」など、課題と思われる部分を見つけます。ここで見つかった課題は、会社の「宝」として一覧にまとめてストックしておくことをおすすめします。課題をしっかり蓄積することで、次に改善すべきことが見える化できるなど将来的にヒントになることがあるからです。

最後のステップが「改善方法を検討する」ことです。当たり前のことですが、とても大事なことです。手順を変更する、無駄をなくす、SaaSを導入するなど、無理無駄が生じている部分や属人化している部分の改善手段を考えましょう。たとえばSaaSの導入による運用コストの削減です。ラクス様の「楽楽ファミリー」製品のように、うまく使えば業務がグッと楽になるクラウドツールはたくさんあります。自社の業務フローに合うものを探し導入を検討してみてください。システムを導入せずとも、業務プロセスを改善するだけでも業務効率化は進められます。複雑なエクセル関数をシンプルにするだけでもいいと思います。それらを行う過程でまた別の見直すべき部分が見えてくるはずです。

どれも当たり前のことと感じるかもしれませんが、しっかりと取り組むことが大事です。

(3)アウトソーシングを活用する|ノンコア業務をやらない

ノンコア業務を「やらない」手段の一つが「アウトソーシングの活用」です。ノンコア業務にはルーティン性がありますが、確実性も専門性も必要であるため、誰でもできる業務ではありません。日々の実務がノンコア業務で手一杯というリソース面の課題、社内に専門性がある人材がいないというスキル面の課題、この両方を解決できるのがアウトソーシングです。

経理部とはともかく忙しく、特に月末月初は請求業務などもあってさらに大変です。負担を減らすために新たに人を採用をしようと思っても、経理人材は採用コストが高く、採用しても引き継ぎや育成には時間がかります。そのうえやっと引き継ぎが終わったと思ったら辞めてしまったというケースも珍しくありません。採用以外の解決策としてツールを導入しても、ノウハウやスキルがないために効果的に活用することができず、忙しさには何の変化もなかった、という声も少なくありません。

こういった課題をすべて解決するのが、アウトソーシングです。活用イメージを感じていただく参考として、弊社のオンラインアウトソーシング『バーチャル経理アシスタント』をご紹介します。

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仕組みは非常にシンプルです。全国にいる約1,400人のプロ人材が、経理の「人」にまつわる悩みや課題をリモートでお客様と一緒に解決します。スタッフは簿記2級以上・経理実務3年以上という厳しい基準をクリアし、さらに面談やPC操作テストを通過した優秀な人材です。その中から、ご状況に合わせてお客様専属の経理チームをつくります。担当者がスタッフに業務を引き継ぐのが大変なのではないかというご心配もあると思いますが、コンサルタントがお客様から業務内容を聞き取り、チームに共有・説明するので引き継ぎのご負担はかけません

経理に関するほぼすべての領域をカバーしています。売掛・買掛管理、経費精算、会計ソフトへの伝票・仕訳入力、紙の請求書のスキャン、会計ソフトの初期設定、SaaS連携、月次決算サポートなどあらゆる業務に対応可能です。業界問わず幅広い企業にご導入いただいています。「マニュアルがない業務も依頼できますか」というご質問をいただいていますが、マニュアルや手順書の作成も私たちが担いますので、マニュアルがなくても業務が複雑でも大丈夫です。また対応可能な会計システムについて指定はありませんし、会計ソフトの導入や業務改善コンサルティングも行えます。

本日ご紹介した3つのポイントと合わせて、『バーチャル経理アシスタント』をご利用いただくことで、コア業務に集中できる一歩先の経理部の実現につながります。私たちはそのお手伝いをしていきたいと思っておりますのでお気軽にご相談ください。

参考:当日ご紹介したお客様の事例

▼導入事例 株式会社I-ne
経費精算業務の作業時間が「20時間から1時間に」──改善のきっかけは『バーチャル経理アシスタント』

▼導入事例 スマートニュース株式会社
業務量が増えても、メンバーは増やさない──スマートニュースが目指す、バックオフィスの理想形とは

参加された方のご感想

当日、講演を視聴された皆さまの感想を一部抜粋してご紹介いたします。

「コア業務とは?・・・日頃からモヤモヤ悩んでいることが言語化され目で見ることができ、頭の中が整理されました。」

「ソラ・アメ・カサのフレームワークを業務に重ねて洗い出し、ノンコア業務に充てる時間を徹底して削減することでコア業務を行う時間と内容の拡大を目指したいと意欲をいただきました。」

「特にはじめのコア業務とは?という部分をきちんと考えられていないことに気づかされました。自社にとってのコア業務とは何かを理解した上で、ノンコア業務の見える化を行い、そこから経理DXに取り組むという流れが分かりました。どうDX化を推進しようか悩んでおりましたが、その糸口が見えました。」

「人材不足をアウトソーシングでカバーという選択肢をひとつとして考えることができました。できるだけ今の人材で見直して改善を図りたいですが、無理な場合、人材が減る場合などに検討することも一つだと思えました。ありがとうございました。」

まとめ

時代に求められる一歩先の「経理の働き方」を実現するためのポイントを3つに分けてご紹介しました。自社にとってのコア業務とは何かを理解し、ノンコア業務を「減らす」「やらない」ことで本質的な価値を提供できる経理部門を実現できます。メリービズはこれからも、経理部やバックオフィスの方々の課題を解決することで、コア業務に集中できる環境づくりをサポートしてまいります。様々な企業様のご支援を通じて得たノウハウも積極的に発信してまいりますので、ぜひご参考になさってみてください。

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