アメとムチ:先送り対策?:ダニエル・ピンク

アメとムチ:先送り対策?

それほど昔ではないのだが、コロンビアの銀行が経営上の行き詰まりを感じていました。その月の最後の週に、まさに毎月のボーナスが計算されるギリギリ間際まで、融資担当者が膨大な量の仕事の量を放置していました。

 やっていることは全く不可解でした。仕事を先送りすることで融資担当者は、銀行のキャッシュフローに大きな問題を生み、毎月4週間毎にもの凄いストレスを発生させ、給与全額の約35%であるボーナスを失う危険に晒していました。それどころか、毎週目標が達成されず、その結果歩合の5%がペナルティとして引かれていました。

問題は何か?

ヒメナ・カデナ(Ximena Cadena)、アントワネット・スコラ (Antoinette Schoar)、アレクサンドラ・クリスティー(Alexandra Cristea)とウェバー・M・デルガド-メドラノ(Heber M. Delgado-Medrano) ― 4人の調査員が、融資担当者のモチベーションを向上させられるかを試みることにしました。銀行の支店を実験グループと比較対照グループに分けました。実験グループの従業員は、毎月の最初の二週間の間、目標を達成すると、映画のチケットのような小さな褒賞が与えられました。 また、銀行は毎月、優秀な従業員トップ3を特集したニュースレターも発行されました。

その後、調査員は別のメリットも補足した。月に2回、「支店のマネージャーは融資担当者と面談し、成果について話し合い、毎週のターゲットを思い出させ、顧客を獲得できるよう奨励しました。」

ボーナスの構造や、従業員の報奨について、何も変更はありませんでした。

これらの施策は、うまくいきました。非常にうまくいきました。融資担当者は1ヶ月を通し、仕事量をうまく分散できるようになりました。担当する融資の成績は同じままでした。そして「施策の褒美と関係なく、融資担当者への報奨は1ヶ月で25%上昇した」(記事の全文はこちら

どんな魔法なのか?仕事を先延ばしにする習慣が解決!

ただし - 施策であるインセンティブプログラムが終わると、輝かしい成果は全て消えました。もしくは、調査員の言葉を、借りれば

これらの効果は、実験が完了しに施策が終わると続きませんでした。

モチベージョン 2.0 としては、融資担当者が仕事を先延ばしにする悪習慣に戻らないためには、アメとムチを使い続けることです。しかし、持続可能なのは稀です。そして、そのために真の問題を分析し損ねたり、一番効果のある解決策を発見できなかったりする恐れがうまれます。

より大きな過ちは、毎月のボーナスを、融資担当者の仕事の中で一番目立つ存在にしたことでしょう。そして、その目立つ存在を維持するため戦術的な手順をひねり出す代わりに、銀行はボーナスを減らすべきでした。銀行は健康的な基本給を支払い、各個人が契約締結した融資の数、銀行顧客の満足度のレベル、および銀行全体のパフォーマンスにもとづいて、ささやかな年末または半年間賞与を与えた方がよかったかもしれません。 (そうです、 レッドゲート・プレイブックからページを破り取ることを提案してます)

これら外付けの報酬を管理することがあまり大事でなくなり、駆け引きをするのが難しくなれば、銀行は、仕事の他の側面をもっと目立つように出来たかも知れません。覚えておいてください: 実験の途中で、研究者は新しい施策を足しました。融資担当者のマネージャーは、月に数回に部下に会い、それぞれの目標を議論し、それらを奨励するようにと言われていました。融資担当者が、仕事のストレスの大幅な減少と仕事の満足度の顕著な増加を報告したのは、この施策導入の後でした。加えて、銀行独自のレポートによれば、融資担当者が欲しがっていたのは、(自分への)理解、フィードバック(ニュースレター)、コミュニティ、そしてコネクション(上司からの奨励)でした。

誤解がないように。私は、人の実際の価値に対してお金を支払うべきだと思っています。そして、私は、実績にかかわらず、同じように報奨を与える制度に反対しています。しかし、ボゴタの銀行またはスケネクタディの学校にいるかどうかに関わらず、”もし~だったら(if-then)”方式の報酬を導入することで素晴らしい仕事の成果を奨励することは、ランチでコーヒー6杯をがぶ飲みし、スニッカーズバー3つを飲み込むようなことです。爆発的なエネルギーは得られるでしょうがが、効果は続きません。長期的に、人間は全く異なる種類の栄養を必要としています。

あとがき

今日のダニエル氏の記事はいかがでしたか?

ボーナスを設計・計算する際によく考えたいですね。

ボーナスがあまりにも強すぎると人は自分が期待している行動と違う行動をとります。電卓をたたき、あとどれくらい何をすれば報酬が得られるのか、給与にどのように反映されるかを考えます。罰と報酬は、組織体制、実施している業務の内容、企業文化ともとても関連があります。用心して考える必要があります。人事の皆様は気をつけてください。

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著者:ダニエル・ピンク

アル・ゴア米副大統領の首席スピーチライターを務めたことで知られる。「ワシントン・ポスト」や「ニューヨーク・タイムズ」で、経済やピジネス戦略について書寄稿。
著書『ハイ・コンセプト』、『モチベーション3.0』『フリーエージェント社会の到来』

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